市川海老蔵が本名を「孝俊」から「寶世」に変え(読みはいずれも「たかとし」)、一部で「キラキラネームか!?」とおせっかいな指摘も上がっている。

ちなみに、先日発表された昨年のキラキラネーム第1位は「黄熊(ぷう)」だとか(リクルーティング スタジオ調べ)…。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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確か、柳美里(ゆう・みり)さんの『命』という小説に「命には、名前がある」という一節があったように思います。名づけってつまり、命の識別でもあるんですよね。他でもないあなた、っていう。

だからこそ赤ちゃんが生まれて舞い上がった両親が、思いつく限り斬新な名前をつけてわが子を祝福してあげたいっ、ていう気持ちは大事にしたい。

けど、解読不能でいちいち人に名前を説明して回らなくちゃならない当人の不便は、やっぱり深刻だと思う。読み方だけでなく「なんで『ぷう』なの?」って、就活でも合コンでも転勤でも聞かれるんだもんね。

すごく深イイ理由があるとしても、毎度物語るのはしんどい。就活でキラキラネームが理由ではじかれるという話もあるし、成人して改名申請する人もいるとか。15歳以上なら親の同意なく家裁に改名申請できるようだけど。

こうなったらぜひ、「幼名」復活を! まずは親が幼い頃の名前を好きにつけて、中学に入る時には自分で大人仕様の名前に変えましょう。小島慶子(幼名・てぃあら)みたいな。

親の愛情に義理立てしつつ、親子の価値観の違いもはっきりして、いいと思うんだけどなあ。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。1972年生まれ。慶子という名は、よろこびの多い人生をという意味らしい。難産の果てに生まれた赤鬼のような巨大児に動揺して、父親が見舞いの帰りに交通事故を起こしたというエピソードも