2月8日18時頃、マグマ沸騰の轟音が30秒ほどやんだ後、突如として無数のマグマ塊を噴き上げる大規模な噴火が起きた。直径500mの火口から、最大10t以上の大きな塊が火山弾となって1kmもの高さまで飛ばされたと推定できる 2月8日18時頃、マグマ沸騰の轟音が30秒ほどやんだ後、突如として無数のマグマ塊を噴き上げる大規模な噴火が起きた。直径500mの火口から、最大10t以上の大きな塊が火山弾となって1kmもの高さまで飛ばされたと推定できる

九州の火山活動が激しくなっている。そのひとつ、鹿児島県の「桜島」では、年明け早々から「昭和火口」(標高約800m)で爆発的な噴火が立て続けに起き始めた。

最初のうちは地下深くから上昇するマグマが「火道」周りの岩盤を粉々に砕き、黒っぽい灰混じりの噴煙を吐いていたが、1週間ほど経つと、溶けたマグマそのものが上空へ噴き上がる「ストロンボリ式噴火」が多くなった。

そして1月8日には「鹿児島地方気象台」が、「桜島内部のマグマ上昇と火山性ガスの圧力増加による“山体膨張”が観測された」と公式発表した。「昭和火口」では2年前にも噴煙が高度5000mに達する噴火が起きたが、今はその当時の2、3倍量のマグマが桜島の内部にたまり、さらに膨張が進んでいるという。

この山体膨張の先にはどんな事態が待ち受けているのか? 本誌は火山災害シミュレーション小説『死都日本』(講談社文庫)の著者で火山研究者の石黒耀氏、桜島噴火の変化を記録している映像作家・吉留直人氏と共に九州の火山地帯を緊急取材。

桜島「昭和火口」の北東約3kmにある黒神地区では、大量のマグマ飛沫(ひまつ)が弧を描いて火口外の斜面へ噴き出す迫力シーンを夜間撮影した。その噴火が鎮まった状態でも火口上部は「火映(かえい)」で赤々と照らされていたから、火口の縁まで高熱のマグマプールが上昇していることは間違いない。

となると、桜島が巨大なマグマ噴火、あるいは溶岩流出を迎える日も近い?

ただ、心配なのは桜島だけではない。この数年、九州では「霧島山(新燃岳[しんもえだけ])」をはじめ「阿蘇山」「口永良部島(くちのえらぶじま)」「薩摩硫黄島」なども一斉に活動を強めている。九州は過去数万年の間に「カルデラ破局噴火」という、想像を絶する巨大噴火が何度も繰り返された、世界でも珍しい火山地帯だ。

仮に今、そんな噴火が九州を襲ったらどんな事態が引き起こされるのか? 詳しくは発売中の週刊プレイボーイ10号』の特集記事「九州を消滅させるほどの“破局噴火”が迫ってる?」でお読みいただけます。

(取材・文/有賀 訓 撮影/吉留直人)