兵庫県伊丹市の伊丹西台商店会を盛り上げるために若手クリエーターたちが店舗ポスターを制作した結果…斜め上すぎる内容で大人気に!
このポスターは、電通のコピーライターと商店街の方々とのまさかのコラボで制作。すでに大阪の「新世界市場」「文の里商店街」で大好評だったポスター展なのだが、そもそも、どうしてこんなおもしろ企画を?
電通のコピーライターで「伊丹西台商店会ポスター展」の仕掛け人である日下慶太氏に伺ってみた。
「もともと若手クリエーターの育成目的で、僕らから商店街へ“ポスターを作らせてください”って始めたんです。商店街のポスターは、スポンサーやタレントさんなどの制約ナシにおもろいものが作れる。
一方で、制約がないからクリエーターとしては言い訳ができない。スベったら全部、自分の責任です。でも、これで賞をもらったりして若手クリエーターのモチベーションは上がってますね」
一方、商店会側はどんな思いでポスター制作を行なったのだろうか? 商店会側の主力スタッフとして活躍した中華料理・開華亭の甲斐智也店長はこう語る。
「阪神・淡路大震災から20年目となるので、街が盛り上がればという思いがありました。当初、僕らが“一緒にやりましょう?”と声をかけても、“そんなんええわ!”って商店会内でも断られてました。でも、メディアが注目し始めると“なんで誘ってくれへんかってん”って(笑)」
ここで、ポスターを制作した、主な参加店を紹介しよう。
【中華料理 開華亭】「このポスターをテレビで見て、昔の常連さんが来店してくれました。店主同士だけでなく、こんなつながりが生まれたのも嬉しかったですね(甲斐店長)」
【フォトスタジオStar Love】「このおじいちゃんは本当に女好きでしゃべりだしたら止まらないほど。でも、こういう方との出会いを大切にして、地元に根づいたお店にしたいですね(松村店長)」
これこそクールジャパンなボスターが続々!
【阪神スポーツ】あの松岡修造のガットも張っていた末高店長。そんな店長が“オレが張る。”“お前は勝て。”という文字をガットで再現した逸品!
【タンドリーディライト】制作スタッフがプライベート旅行で行ったインドで撮影した画像と、インド料理店・ママの「カレー、できたわよ~!」がキセキの融合!
【割烹 うしお】バイトから苦節20年でトップに上り詰めた和田社長がバカ殿風味なメイクで登場。「うちは冠婚葬祭で利用するお客さまが多いので、葬祭時はこのポスターを隠してます(笑)(和田社長)」
【Cafe Mon】爽快感強めなビールの広告を意識した、こちらのポスターの評判は? 「ビールを注文するお客さんが増えました。うち、喫茶店なんですけどね(笑)(築山店長)」
というわけで、前出のおふたりに「伊丹西台商店会ポスター展」で、もっとも苦労した点を聞いた。
「年配の店主さんに企画趣旨を説明するのが一番しんどいですね。理論とか理屈とか絶対に通用しませんから。でも、行政側にアホな人がいると状況が激変するんです。今回も伊丹市の担当さんが、ダウンタウンの売れない頃から追っかけしてる人で、このアホな企画を理解してくれました」(日下氏)
「苦労は多かったけど、やって良かったです。ポスター展をやる前は、商店会の店主たちの顔は知ってたけど交流はほとんどありませんでした。でも、ポスター展以降は同世代の店主たちと飲みに行って、『カバディ大会やろう』とか話せる仲になった。こういう関係を築けたのが本当に大きいんですよ」(甲斐氏)
被災地繋がりで宮城・女川でもポスター展!
そして実は、このおもしろポスター展が2月21日からは宮城県女川町(おながわちょう)でも開催されている。
「僕らはポスターを通じて、同じ震災被災地の女川町の方々ともつながることができました。ポスターだけでなく、これも財産ですね」(甲斐氏)
(取材・文/直井裕太)