「握手会」といえば、AKB48を筆頭にアイドルやグラドルなど芸能人が行なうファンサービスというイメージ。ファンにとっては大好きなアイドルたちに接触する絶好のチャンスだ。
しかし今月20日、そんな握手会を意外すぎる趣向で行なったのが、『JTB時刻表』。しかも、なんと握手してくれるのは、そちらの大内学編集長だというではないか。
もちろん、男性アイドルでも握手会くらい開催するご時世だが、こちらはただの“雑誌編集長”…鉄道ファン以外からみれば、有名人でもないただの大柄なオジサンだ(すいません!)。
そりゃ、熱烈な鉄道ファンが数多く存在するのもわかるし、乗り鉄、撮り鉄など細分化されているのも今や有名。だけど、時刻表を作っている編集長と握手したいほど敬愛するファンがいるのか!?
そんな疑問を晴らすべくイベント会場へ行ってみたところーー。
ガランとした会場を想像しつつ、開催5分前に現場に到着。すると予想外にも人が並んでいる! それも階段を下って20代~50代の時刻表ファンたちが約30人ほどの行列になっているのだ!! 一体何しに来ているんだ!?(当然、握手だが……) ちなみに週プレNEWS以外、興味を惹かれたらしいマスコミは数社のみ(苦笑)。
イベントが始まると、列に並んでいた時刻表ファンたちが大内編集長と握手し、会話し、たまに撮影。長引くと「剥(は)がし」のスタッフが「そろそろ~」と促す光景は、アイドルの握手会となんら変わりない…。違うのは相手が「編集長」ということ。参加者も周りにいるスタッフも握手する姿に笑ってしまうという和やかな空間だった。
参加者は計70名程度。誰がこんな快挙(?)を想像しただろうかと驚くような、まさかの結果! 長野や大阪など地方から有休を取ってまで訪れた人たちもいた。
「SNSでイベントを知って、滋賀から来ました。物心ついた時から40年以上読んでいるので、作っている方に会えて光栄です。まだ若いんですね。何人か歴代の編集長とお会いしたこともありますが、何年かしたら威厳も出るでしょう」(40代後半男性)
乙女のイタズラに編集長もドキッ!
ほぼ全員男性という列には、20代半ばの女性ふたり組も…。大内編集長はその姿を見るやパァっと明るくなったように見えたが、元々知り合いだったそう(苦笑)。しかし、握手を終えたふたりが「サインしてください!」と取り出したのは、なんとライバル誌『JR時刻表』!? これには会場の全員から爆笑が湧き上がった(仕込みかよ!?)。
さらに、参加者の中には大内編集長の奥さんとお子さんまで。
「いや、本当にちゃんと人が来てくれるのか心配で息子と来ちゃいました。でも皆さん来てくださって、温かい人々に囲まれてるんだなと改めて見直しちゃいました」
奥さんにも惚れ直され、結果的に成功した握手会。しかし、なぜ行なったのかという疑問はいまだ消えず…。
握手会実現は部下の策略?
この日、集まっていた歴代編集長の3人に伺うも「いいと思いましたよ、私がやるわけではないですし(笑)」(木村嘉男氏)、「よくやるなぁと思いました」(高山法悦氏)、「2年前まで編集長だったんですけど、ちょっとズレていたら私だったのかとヒヤッとしました」(石川敏晴氏)と、後輩の握手会に賛成しつつも苦笑(笑)。そこで、大内編集長本人に聞くと…、
「ちょうど今年、弊誌の90周年で読者の方と直接話せる機会を設けようと思っていたんですよ。そこで会議をしていたら、なぜか握手会になってしまって…。今日も人が来てくれるか不安でしたが。今後も握手会ではなくても、こういう機会は増やしたいですね」
と照れ臭そうに話してくれた。だが、部下であるスタッフは本人以上に自信を深めたようで、
「実際、私たち周りのスタッフが握手会を提案したんですよ。その時は、編集長はノリ気じゃなかったんですけど、今日見ていたら満更でもなさそうでしたよね。今後も表舞台に出てもらおうと思います(笑)」
と、さらに担ぎ出すべく何やら企んでいる様子。今後、握手会だけでなくハグ会やチェキ会などファンと編集部との「接触イベント」が期待できるかも? わが週プレNEWSも見習うべきところはあるんでしょうか、編集長!?
ちなみに、握手会に訪れた人々はその後、行なわれた歴代編集長によるトークショーにも参加。皆、こちらがメインであくまで握手は「せっかくだから」と参加している人がほとんどだった…というオチも明かしておく。
(取材・文・撮影/週プレNEWS編集部)