ここ最近、都会での暮らしに見切りをつけて、田舎で第二の人生を始める人が増えているらしい――。

移住者の数は2013年度で8169人、この4年間で2.9倍に増えたというデータもあるが、NPO法人「ふるさと回帰支援センター」副事務局長・嵩(かさみ)和雄さんによると「それはあくまで自治体の支援策を利用して移住した人の数。自治体を経由せずに移住した人を含めると、実数は2万人近くに膨らむのでは」とのこと。

ちょっと興味はあるけれど、都会で生まれ育った人が地方移住の実際をイメージするのは難しいはず。そこでまずは移住先選びのポイントをNPO法人「ふるさと回帰支援センター」副事務局長・嵩(かさみ)和雄さん、『田舎暮らしの本』(宝島社)編集長・柳順一さんのふたりに聞いてみた。

●移住先はどうやって決めたらいい?

「『都会生活に疲れたから田舎でのんびりしたい』というような話をよく耳にしますが、動機が曖昧(あいまい)だと、移住後に後悔することになりかねません。大切なのは、移住の目的を具体的に描くこと。農家を目指したい、自然が豊かな環境で子育てをしたいなど目的にブレがなければないほど理想の田舎暮らしに近づけます」(嵩さん)

そう前置きした上で、失敗しない移住先選びの重点ポイントを教えてくれた。

「『○○村に住んでみたい』といった第一印象は大切ですが、『自分には○○村しかない』とすぐ決め込むのは禁物。最初は静岡県でトマト農園をやりたいと希望していたのに、今では奄美大島でパッションフルーツを作っているといった感じで、移住地探しの過程で希望が変わるケースもザラです。

なので、各自治体が実施している移住体験ツアーなどを活用し、複数の候補地を自分の目で見た上で決めるのがベストです。移住希望地が絞り切れない人は、ふるさと回帰支援センター(東京・有楽町)を訪ねてほしい。約850自治体の移住に関する資料が入手できるだけでなく、専門相談員が個人面談を通じて移住地選びをサポートしてくれます」

移住者歓迎度が高い地域がオススメ

柳さんもこうアドバイスする。

移住者歓迎度が高い地域を選ぶといいでしょう。例えば、自治体の首長が定住促進を公約にしていたり、役場に専任の移住支援担当者がいたり移住体験ツアーの開催頻度が高い地域です。そうした地域では、地元住民に対して移住者受け入れの合意形成がきちんと取れているケースが多く、“先輩移住者”も数多いので地元になじみやすい。移住後のミスマッチが起きづらいといえます」

そこで柳さんが特に好印象という最近の移住先を挙げてもらったので参考にしてほしい。

●『田舎暮らしの本』柳編集長オススメの「移住先」 1位 千葉県館山市 東京から電車で120分、車で90分の館山市は「週末に通える田舎」として人気で2地域住居にもオススメ。海も山もあり、環境もいい

2位 岐阜県郡上(ぐじょう)市 「郡上おどり」などで知られる観光地でありながら移住・定住支援に熱心な行政やNPOのおかげで移住者に優しい環境が整っている

3位 鳥取県鳥取市 古きよき田舎として40歳以下の問い合わせが急増中だという鳥取市。市内の鹿野町は城下町で温泉付きの移住お試し住宅も!

(構成/興山英雄)