結婚している男が妻以外の女性とセックスをしても「不倫」にならない!?
こんなビックリ判決が東京地方裁判所によって下されたことが波紋を呼んでいる。キーワードは“枕営業”。そこで、週プレはごくごく身近に存在する「営業のために男と寝る女たち」の実態を調査した!
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「枕営業は不倫じゃない。ビジネスの一環だ!」。東京地裁の下した判決がニュースとなって日本中を驚かせた。この裁判は「銀座のクラブのママが、常連客と月に1、2度ホテルで肉体関係を持っていた(と思われる)ため、常連客の妻がママに対して慰謝料を請求した」もの。
判決文は「クラブのママやホステスは、優良顧客を確保するために様々な営業活動を行なっており、その中には枕営業を行なう者もいる」「枕営業をしていたとしても売春婦と同様に性欲処理に応じたにすぎず、婚姻生活を害するものではない」「ソープランドに勤務する女性との違いは対価の支払いが直接的か間接的かにすぎない」といった内容だった。
離婚訴訟や不貞行為に詳しい三輪記子(みわふさこ)弁護士が解説する。
「簡単に言うと、枕営業はビジネスの一環だから不法行為ではない。クラブの料金には肉体関係代も含まれているということです。この判決を拡大解釈すると水商売以外の仕事、例えば保険の外交員さんや美容師さん、営業職のOLさんがお客さんと肉体関係を持っても枕営業だと言えば問題になりません。
これまでは遊びだろうが本気だろうが肉体関係を持ったら不法行為に該当していました。しかし、この判決では女性側の営業行為の一環だったら肉体関係もOKということになります。それではこれまでの裁判例との整合性が取れませんし、不貞行為ひいては結婚の意味も変わってくる。個人的にはこの裁判例が一般化するとは考えにくいのですが」
と専門家は戸惑いを隠せないが、このニュースを聞いて「枕営業は不倫にならないのか…」と喜んだ世の男たちも少なくないはずだ。
高級店ほど“強制ノルマ”が?
そこで、枕営業の実態を知るため20代から40代の男性約2千人に「枕営業を受けたことがあるか」と聞いたところ、約5%が「ある」と答えた。意外と多い。
次に、枕営業を受けた100人に「枕営業を受けた店の形態」「その店にどれくらいの頻度で通っているか」「1回の平均支払額」「次の枕営業までに何回通ったか」などを質問してみると「キャバクラ」に「月1回以上」通って、1回当たり「2万、3万円程度」使うと枕営業が受けられて、その後「4、5回通うと一度」の割合でヤレることが一番多いという結果になった。
そこで銀座の高級クラブに15年間在籍したことがあり、『告白銀座ホステスの性事情』(河出i文庫)などの著書のある作家・金沢京子さんに銀座の枕営業の実態について教えてもらった。
「銀座には“枕営業をせざるを得ない”システムがあるんです。高級クラブのホステスさんは、高いお給料をもらう代わりに厳しいペナルティがあります。例えば“強制同伴日”。この日に同伴出勤できないと一日分の給料がもらえなかったりします。この強制同伴日は高級店になればなるほど多いのです。
他には、パーティ期間などの“強制ノルマ”。例えば、パーティ期間中に10組のお客さんを呼べなかったら一日当たり5万円ずつ給料から引かれたりします。
すると、『タダ働きになったり、5万円引かれるくらいなら寝てでもいいから同伴してもらおう』という気持ちになります。そこで、強制同伴日などに付き合ってくれるお客さんが必要になります。それもひとりふたりではなく、5人から10人くらいはキープしておきたい。
だから、女のコが『今日は強制同伴だから、お願い』って誘った時には、優しく『いいよ』と言ってお店に行ってあげてください。そして、次にまた誘ってきたら、今度は『エッチしないと行かないよ』と言えば、女のコも『しょうがないわね』となる可能性もあるはずです。特にママクラスになるとノルマ漬けなので、強制同伴の日だったらその可能性が高くなると思いますよ」
枕営業禁止のお店は皆無!
銀座のクラブで働く現役の40代のママに聞いてみても「『枕営業禁止!』というお店はないんじゃないかしら。銀座の女のコはお客さんにいかに好かれるか、口説かれるかが重要なの。枕営業もその延長上にあると思いますよ」
銀座で枕営業を受けるためには一日に何百万円も使わないとダメだと思っていたら、強制同伴日を狙えば数万円で銀座のホステスさんとエッチすることも可能だったとは…。では、銀座以外ではどうなのだろう。池袋で働くキャバクラ嬢に聞いた。
「同伴や指名のノルマを達成するために枕営業をするコはいますよ。うちのお店では週の出勤日数が月の同伴ノルマ数になっています。週に3日出勤するコだったら、月に3回の同伴が義務。できなかったら、1回につき1万円の罰金です。それに一日1指名は取らなきゃいけない。キャバクラも結構う厳しいんです」
やはり、枕営業のポイントは、単にお金を使うことではなくノルマに貢献することらしい。
発売中の『週刊プレイボーイ』25号ではさらに芸能界での枕事情の実態もリポートしているのでお読みいただきたい!
(取材・文/村上隆保 赤谷まりえ)