真夏は疫病の心配があるのでマスクや除菌ティッシュ、お風呂に入れないので使い捨て濡れタオルなど衛生製品を多めに。基本は「水」 「トイレ」「火(調理・煮沸)」グッズをそろえること

箱根山の噴火活動も予断を許さない中、もし真夏の首都圏が巨大地震に襲われたら阪神大震災、東日本大震災の経験則を超えた異常事態が待ち受けている。

その際、とりわけ読者が若い独身男性なら、広域避難所に頼らず自活し、助けられる側よりも助ける立場で生き抜くべきだ。そんな被災者がひとりでも多いほど廃墟と化した東京の復興も早まるからだ。

それだけにサバイバルのために必要な最小限の物資も厳選しなければならない。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏にアドバイスしてもらおう。

「まず、私は“呼子”“小型LEDライト”“方位磁石”がサバイバル道具の原点だと思い、常に携帯しています。それ以外に小型ラジオ、行政の防災情報を傍受できる無線機(できれば初級免許を取得)も必ず役に立つでしょう。

そして生き残ったら、今度は生き延びるために数週間分の食料と、夏ならば一日当たり最低2リットルほどの飲料水も同じ期間分くらい確保しておきたい。また、ちょっとした調理やお湯を沸かすためのカセットコンロも必要だし、ケガも心配なので救急キット消毒薬も備えたほうがいい。

それと大事なのはトイレ。所構わずの排尿排便は人間の尊厳を捨て去ることを意味するので、トイレの工夫は怠るべきではない。土の地面が多い地域なら穴を掘れば済みますが、それができない都市環境では糞尿を包み込み、臭気を消せる“猫のトイレ砂”が最も実用的です。このアイデアがもとで現在『Zioトイレ』として商品化できました。これだけそろえればどうにか生き延びられるでしょう」

このZioトイレ、トイレにビニール袋を設置して使用するもの。類似品もあるが、この手のトイレ用品は絶対必需品だ。

他にも疫病・ウイルス対策として「使い捨てマスク」は数十枚、手や食器などを清潔に保つための「除菌シート」は詰め替え分も用意しておきたい。上下水道は数ヵ月は復旧しないので「お風呂代わりの大判濡れタオル(使い捨て)」、汗を急速に乾かしてくれる「ドライフィットのTシャツ」もあると便利だろう。

ちなみに水は、飲料だけではなく、汗をかくため、ちょっとした洗いものにも必要。多ければ多いほど安心だ。

とにかく、夏の災害の肝は水分補給と衛生確保。震災発生後の首都圏では、感染症ウイルスが猛威を振るう恐れがある。その地獄のような現実に負けない強い精神力と生への執着心も必要だ。今夏、そんな世界に首都圏が変わり果てないよう祈るばかりである。

(写真/五十嵐和博)