今年に入り、東京都内の高級デリヘル店が続々と摘発されている。
７月上旬には渋谷のデリヘル店『現役女子大生専門・ガーリー東京』、『エリートクラブ』の経営者と従業員６名が、１８歳の女性を売春させる目的で男性客にあっ旋したとの容疑で逮捕された。
『ガーリー東京』は現役女子大生を多数在籍させ、６０分４万円、９０分５万円などプレイ料金も高額。『エリートクラブ』も現役タレントやモデル、女優を在籍させている点を売りに９０分１２万円～１８０分２２万円（指名料５千円）と、大衆店の相場が１万５千円～２万円であることを考えると、かなりの高級店といえる。
実は、それ以前にも高級デリヘルの摘発は進められていたという。キャバクラや風俗店のスタッフ、シングルマザーや家出少女らの女性を支援するＮＰＯ法人の代表を務めるだいわりゅう氏がこう話す。
「報道はされていませんが、最近では『美人百科』（渋谷発、７０分５万円～）や『クラブ・メトロン』（渋谷発、６０分３万５千円～）、『ウィンダム』（渋谷発、６０分３万５千円～）も摘発され、『ルイ・シャトー』（渋谷発、９０分３万５千円～）も手入れが入ったのか、最近閉店しています。いずれも渋谷を拠点にする人気店でした」
高級デリヘルばかりが、一体なぜ…？
「いずれの店も“本番サービス”を提供することを前提に営業していたためです。そうした店は『ＤＣ（デートクラブ）』と呼ばれ、常連の男性客は“本番をヤル”ことを目的に電話をし、女性キャストも“本番をやらせる”ことを前提に出勤しています。表向きは通常のデリヘルなので一見、客には見分けがつきませんが…」
では、店側がリスクを冒して違法営業を続ける理由とは？
「デリヘル業界も過当競争の時代。同じ価格帯の競争に負けそうになった時、付加価値（＝本番サービス）をつけ、ＤＣ業態に切り替えることで活路を見出す。ここ数年、こうして通常のデリヘル店がＤＣ化していくパターンが非常に増えています」
“本番ＯＫ”のデリヘル嬢も狙われる？
この店側の動きに合わせて、デリヘル嬢のＤＣ化も進んでいるらしい。
「ＤＣ店はプレイ料金が高い分、実入りが大きい。一回のプレイで通常のデリヘル店の２、３倍の収入が望めます。また、通常のデリヘルではフ○ラで抜かなければなりませんが、長時間に及ぶ行為はテクと体力と気力が求められます。それならいっそのこと、『本番やっちゃった方がラク』という理由でＤＣに流れてくるコが少なくないんです。
マットプレイなど覚えることが多く、出勤管理がより厳しいソープ業界からの流入もあります。また、最近では普通の女のコがＤＣ店で風俗デビューするケースも増えていましてね。街中でスカウトをしているとよくわかりますが、今どきの若い女性の中には、小遣い稼ぎで体を売ることに抵抗感がないコが驚くほど多い。ＤＣは女性にとって、他の風俗業態と比べても働くメリットが大きいんです」
一方で、最近はこの違法なＤＣ業界に低価格化の動きもあるという。
「今年１月に摘発されたサンキューグループの一部の店では、３９００円というサービス料金で女性に本番行為をさせていた事実が明るみになりました。同じように、関東エリアを中心に１万円以下の料金で本番サービスを提供しているＤＣが増え出しています」
そんな急速に売春の温床と化しているＤＣの摘発に、まずは目立つ高級店から警察が本腰を入れ始めたということか…。風俗トラブルを専門にする弁護士のＡ氏がこう話す。
「そこには東京五輪に向け、『日本の性産業をキレイにしておきたい』という捜査当局の思惑もあります。取締り方も厳格化してきていて、経営者だけでなく受付スタッフやドライバーら末端の従業員まで逮捕されているのも最近の傾向。警察はＤＣを壊滅させるつもりです」
まだ先に思える東京五輪に向けた警察の風俗浄化作戦――。海外からの観光客も激増する中、早めに芽は摘んでおこうと？ さらにＤＣの摘発が済んだ後にはこんな展開もありうるとか…。
「最近は通常のデリヘル店でも、店側から『本番はするな』と厳しく指導されているにも関わらず、指名が取れるからと隠れて本番営業をしている女性も少なくありません。警察は通常のデリヘル店での“個人的な本番行為”にまで捜査の手を伸ばしてくる可能性もありますね」（Ａ氏）
それでさらに裏の裏へと温床の根が伸びなければいいが…。
（取材･文／興山英雄）