日本一奪還に向け、市も市民もアツい多治見市 日本一奪還に向け、市も市民もアツい多治見市

全国的に猛暑が続いている中、日本の“猛暑御三家”と呼ばれる四万十(しまんと)市、多治見(たじみ)市、熊谷(くまがや)市の「灼熱バトル」もヒートアップしてきた。

四万十市は日本最高記録となる41・0℃(2013年)、多治見、熊谷の両市はともに40・9℃(07年)の記録がある。その差、わずか0.1℃! 夏本番を迎えた各陣営の状況を取材すべく現地へと飛んだ。

***

最初に訪れたのは岐阜県多治見市。JR多治見駅に着いて驚いたのは、肌に突き刺さるような陽光のまぶしさだ。

客待ちのタクシー運転手が「みんな『うちの市の上空だけ、オゾン層が破壊されとるんと違うか』と言っとるからね(笑)」とジョークを飛ばしていたが、実際、本当にそうなのではと思えるほどに太陽光が強烈なのだ。

まだ午前10時なのに、駅前の巨大温度計は早くも32℃を示している。暑い…。近くのコーヒーショップへと避難すると、店内では地元民とみられるおっちゃんたちがこんな会話を交わしていた。

「超えるじゃろ」

「いやいや、そこまでは今日はいかんと思うよ」

その視線の先は駅前の巨大温度計…そう、この日の最高気温を予想し合っていたのだ。さすが多治見! 聞けば、多治見市では気温が35℃以上になると、商品が値引きになる「激熱セール」を行なうスーパーもあるとか。市民のひとりが苦笑する。

「ただ、夏の多治見はほとんど35℃を超えるので、毎日が『激熱セール』。たまに気温が下がってセールがないと、『今日は商品の値段が高い』と怒りだす客もいる(苦笑)」

多治見が目指すは世界一!

猛暑が生活の一部なだけに、13年に四万十市に猛暑日本一の座を奪われた時の悔しさはひとしおだったとか。多治見市産業観光課の担当者が言う。

「あの日のことは忘れもしません。四万十さんで41・0℃が出たと聞いた瞬間、頭の中が真っ白になりました。何せ、『日本一暑い町、多治見』というキャッチコピーを作り、町を挙げてPR活動をしていましたから。なのに、明日からそのコピーが使えなくなる。コピーの入ったポスターやパンフレットもすべておじゃんです。どうしようかと放心状態でした」

結局、「暑い町」の表記を「アツい町」としてお茶を濁したというが、ならば今年こそ日本一の称号を取り戻したい?

「行政としては猛暑対策に力を入れてますので、気温が上がってほしいとは軽々しくは言えません。だけど、市長は『もう一度、日本一の座を奪回する!』と明言してますし、私も気象庁の『今日の全国観測地ランキング』を眺めていると、つい『ガンバレ多治見!』と力が入ってしまう(笑)」(前出・産業観光課担当)

一方、市民の思いはよりストレートだ。

「四万十に1位の座を奪われて悔しい。2位に転落して涼しくなるならいいけど、2位でもクソ暑い(泣)。それなら、日本一がいいに決まってるでしょ!」(居酒屋女将[おかみ])

「日本一なんて、スケールが小さい。多治見が目指すは世界一! 45℃、46℃くらいまで上がれば、きっと世界を相手にできる」(酒屋店主)

この7月の多治見は、例年に比べるとこれでも涼しいほうだというが、これは「吉兆(きっちょう)」との声も…。

「これまでも7月が暑いと8月は気温が上がらない。逆に7月が涼しいときは8月が“くる”印象です。06年もそうでしたから、今年は期待できますよ!」(前出・観光課)

多治見は気候も市民もアツかった。日本一奪回、さらには世界有数のホットシティになるべく、虎視眈々(こしたんたん)と記録更新を目指していたのだった。

ちなみに世界最高気温は、アメリカ・カリフォルニア州デスバレーの56・7℃です!

●発売中の『週刊プレイボーイ』32号では、続いて熊谷市、四万十市をリポート。そちらもお読みください!

(取材・文・撮影/ボールルーム)

■週刊プレイボーイ32号(7月27日発売)「四万十vs熊谷vs多治見 灼熱三国志」より