東京都心で観測史上初の8日連続の猛暑日を記録したこの夏…各所で熱いバトルが

東京都心で観測史上初の8日連続の猛暑日を記録するなど各地で猛烈な暑さが続いた、この夏。

そんな記録的な日本列島で、8月7日よりイオンがその日の国内最高気温×1万円を毎日1名にプレゼントするキャンペーンイオン気温ジャンボを展開している。

例えば、8月12日の国内最高気温は35.9℃だったので、抽選で1名の当選者に35万9千円をプレゼントするというもの。なんとも太っ腹で涼やかな…。キャンペーンは31日まで行なわれるので、気になる人はイオンの特設サイトから応募してはいかがか。http://www.aeon-kionjumbo.jp/

しかし、「週プレNEWS」が注目しているのはそこではない。

同キャンペーンと並走して行なわれている「毎日暑々ランキング!!」である。こちらは国内最高気温を記録し「イオン気温ジャンボ」の賞金額に採用されたエリアが1℃=1ポイントを獲得。そのポイントによって、「毎日暑々ランキング!!」が形成されるというものだ。

国内最高気温をマークしない限りポイントが付与されないので、2番以降はどんなに気温が高くてもポイントはゼロという、まさに「1か0か」の鬼ランキング。しかも、それで獲得したポイントによりイオンから賞金や商品が出るでもなく、なんらかの特典が与えられるわけではない。手に入るものは「2015年夏、日本一暑い町」であるという栄誉のみだ。これはいろいろな意味でアツい。

ちなみに、キャンペーンが展開される直前の12日間の“前哨戦”では岐阜県の多治見市と群馬県の館林市が155.1ポイントの同率首位。国内最高気温の観測数がともに4回、つまり両市で12日のうち8日もNo.1を獲得しているのである。圧倒的な強さ…いや暑さ。

(2015年7月26日~8月6日の12日間のランキング)

8月7日以降の「レース本番」でも、この2都市は頭ひとつリードしている。16日現在、多治見が109.9ポイントでトップ、続いて75.0ポイントで館林がきっちり2位をキープ。首位争いはこの2都市を中心に繰り広げられるのはほぼ間違いないだろう。

このアツすぎるレースについて2都市の住民はどう思っているのか。そこで、記者はランキング大本命の館林と多治見に向かった!

ランクトップ争いも敵視するのは…

事前の天気予報では「本日、全国的に暑さは和らぐでしょう」などと言っていたが、なんのなんの、多治見駅前のロータリーに設置されたデジタル気温計は35.6度を表示している。“本調子”でなくてこの気温…さすがランキング目下1位をひた走る町である。早速、多治見市民に話を聞いた。

「暑さ日本一!? そんなものになったところで、なんの自慢にもならないしねぇ。館林? 別に他のところが暑かろうが気にならないですよ」

額から汗を噴出しながら、そう語るのは多治見市内に住む40代の男性だ。言葉の端々からは「暑さをネタに地方を弄(もてあそ)ぶな」「メディアには踊らされんぞ」という反発心が見え隠れする。そこで「毎日暑々ランキング!!」の存在を教えると、前言を撤回するかのようにこうまくし立てた。

「え、そんなランキングがあるんですか? 現在1位? よっしゃぁぁぁ!! どうせなら1位を獲りたいですよね!! ええ、2位や3位とかだと全然意味ないですから!!」

彼に限らず、「他の都市は気にしていない」という人でも、いざランキングを目の当たりにすると俄然、闘争本能に火がつくのが多治見市民。さすが暑い街の人々、ハートもアツいようだ。

「多治見の場合は気温に表れない暑さもある。特に湿気がすごいですからね。他の暑いといわれている街と比べたら“ダルさ”は一枚も二枚も上でしょう!! 」(10代の男子大学生)

「正直、館林は眼中にありません。気になるのは熊谷。毎日の天気予報は多治見と熊谷の気温を見ています。是非ランキング1位になって、暑い街としてもっと有名になってほしい」(大学生の息子を持つ主婦)

続いて、記者は群馬県館林へと向かった。

館林駅東口前の気温計は32℃を表示している。これくらいだと最早、涼しささえ感じられる。実際、多治見に比べると過ごしやすい気候である(取材当日に限っては)。

まずは駅前にたむろするヤンキー風の男性3人組に話を聞いた。

A「ランキング1位は他の町にはとられたくないね」B「というより、熊谷が気になる。あ、ランク入りしてねぇのかよ!!(←嬉しそうに)」C「熊谷だけには負けられねぇ」A・B「だな」

個人的な恨みがあるかのように激しい対抗意識を燃やす3人組。しかし、彼らが特別なわけではなく、館林市民は総じて、こと暑さに関しては熊谷に並々ならぬ思いを抱いているようだ。

熊谷のクールな姿勢に市民は反発も?

「他の町の気温は気にならないけど、熊谷は別。あそこには負けたくない」(館林に70年間住んでいるというおばあさん)

「ランキングには興味がないが、熊谷には負けてはいけない。こっちがいくら暑い日が続いても、TVで暑い町として扱われるのは熊谷。納得がいかない」(40代の男性)

館林市民の対抗意識はことごとく多治見ではなく、永遠のライバル・熊谷の気温だった…。「なんでウチのほうが暑いのに、メディアに登場するのは熊谷なんだ」という不満が言葉と表情に滲み出ている(ような気がする)。

その気持ちもわからないでもない。実際、ここ数年は毎夏、圧倒的に館林の月平均最高気温が勝っている。今回も熊谷はランクインすらしておらず圧勝だが、“暑い街界”における存在感は依然、熊谷が勝っているのが現状。こうした「嫉妬」は多治見でも見受けられた。

ちなみにその熊谷市は現在、“暑さ日本一レース”から一歩退き、「暑さ対策日本一」の町としてPRに余念がない。まさに先を行く王者の余裕か。

現在、実施しているのが「クールシェアくまがや」という施策。夏の節電対策として、ひとり一台のエアコンの使用をやめ、涼しい場所に集まって、みんなで夏を楽しく快適に過ごそうという取り組みだ。

公共施設の他、クールシェアステッカーやのぼり旗が掲げられたお店に「クールシェアで来ました」「家のエアコンを切ってきました」と言えば、各店でサービスを受けられる(例えば、参加店となっている居酒屋では生ビール1杯サービスされたり、喫茶店ではアイスコーヒーが1杯無料となったりする)。

暑さで競うのは不毛。何をいつまでアツくなっているのだ、もうそんなことで争うのは止めにしないか――そう言いたげな熊谷のクールな姿勢。しかし、中にはそんな“方針転換”を苦々しく思っている市民もいるようで…。

「市が暑さ対策をするのは自由だし、するべきだとは思う。でも日本一暑い町の看板をあっさり下ろそうというのであれば弱腰すぎる。そもそも日本一暑くないと、暑さ対策日本一もクソもない。今回のランキングでは是非、その存在感を示してほしい」(熊谷市内に住む30代男性)

多治見、館林、熊谷。猛暑BIG3のアツすぎる夏は残暑厳しいこれからが本番。はたしてランキング1位はどの街が勝ち取るのか、今、本当に日本一暑い街はどこなのか。レースの行方に注目だ。

(取材/小山田滝音)

【関連リンク】イオン気温ジャンボ http://www.aeon-kionjumbo.jp/ 熊谷市 クールシェア https://www.city.kumagaya.lg.jp/kakuka/sogo/kikaku/oshirase/cool_share.html参照