社会的にも表面化し、深刻さを増す“ママ友”問題ーー。
先月には、栃木でふたりの母親がママ友から受けたイジメで自殺してしまうという悲惨な事件も起き、反響を呼んだが、なぜママ友の間でそこまでいがみあうのか？ 取材を進めると、今や“ママ友あるある”ともいえる、トラブルてんこ盛りな実態が寄せられた。
まずは、女性ならではの嫉妬があるというのは都内でサロン経営をしているＡさん。
「やはりブスは美人をやっかむんですよ。ちょっと若くてキレイってだけで妬（ねた）まれる。ぶっちゃけ私が妬まれる側なんですけど。だからママ同士はキレイ系はキレイ系で固まるし、化粧っ気のないオッサン化したママ同士はそれで固まるんですよね」
続けて、「嫌がらせが始まるのは小さなきっかけなんですね」とＡさんは言う。
「私の仲の良い“読モあがり”のママは、お喋り好きで世話焼きな年中全身ジャージみたいな地味なババアにお茶誘われて断っただけなのに、それが気に入らなかったみたいで。『あの子は彼氏がいるらしい』ってウワサをバラまかれちゃったんですよ」
「火のない所に煙は立たぬ」というのは通用しない。バラまかれた火種は燃え盛るのみだ。
「結局、『不倫相手とラブホに入ってるところを見たママがいる』ってところまで話が大きくなって、旦那さんの耳に。最終的に収まりましたけど、離婚の危機になっていました」（Ａさん）
美しさという格差以外に、社会的立場の違いが対立を生むのも大きな特徴だ。都内に住むＢさんは働いている兼業主婦だが「彼女ら（専業主婦）は社会人としてそもそもおかしいですよ」と憤る。
「うちは数年前引っ越して、子供が小学生なんですけど、町内や学校行事の役割分担まで決定事項だけ伝えてきて、専業主婦の人たちだけで先になんでも決めてしまうんです」
仕事があれば不可能なことも多々ある。Ｂさん自身も「働いているからできないというのは違う」と言うようにやらないつもりはない。しかし、「やり方が卑怯だ」というのだ。
「決められた役割だったり、会議の日時が無理な時もあるので、変更できるか聞いても拒否されるんですよ。それでいて断ったり休んだりすると『好きで働いているのに』と文句を言われて…。それだけならまだしも、向こうは結託して次のＰＴＡで役員にさせたり、それもペナルティみたいな形で。いい大人がホント、バカみたい」
Ｂさんはすでに専業主婦たちとの関わりを絶ったそう。無理なものは無理と、断絶を決め込むことで相手にせずストレスフリーになったが、そう強くいられる女性は少ないと認める。
サークルでの諍いが幼稚園を巻き込み大騒動
この２例で共通するのは、“そもそも一般的な「友達」ではない”ことだ。それでも子供同士のつながりから“関わりを持たなければいけない”のが「ママ友」という奇妙な関係。ＡさんＢさんは「女性は群れたがるから尚、性質が悪い」とため息をつく。
しかし、そうした関係だからこそ、特に誰が悪者というわけでもなく複雑化・深刻化してしまう。次に挙げる例も、他愛もないきっかけが大騒動に。
舞台は都内の高級マンション群。話してくれたＣさんは少し離れた場所に住むため無関係だが、そのママ友たちとは幼稚園が同じだ。
「あるマンションに幼稚園の母親たちでやっている手芸サークルがあるんですけど、そこで何を作るかで揉めてクラブ内が２チームに分裂したそうです。もう、グループＬＩＮＥでもう片方のチームについて文句言い合いで、会っても無視だし睨（にら）み合ってる状態なんですよね」
最初のきっかけは正直、たかが「何を作るか」ということだけ。どうでもいいことのように思えるが、それから“結束”ができ“対立”が生まれる。「群れる」女性にとって、その結束は「絶対的なもの」で、そこに敵が生じれば自然と対立もヒートアップしていく。
「その手芸サークルが分裂したことで、決裂したママ同士が顔を合わせたくないって幼稚園に直訴。幼稚園側もそこのマンションからの入園者が多いから従うしかなかったらしく…バス停を増やしたり、バスのメンバーをシャッフルしたりで大変だったみたい」
ちなみにこのＣさん、なぜそこまで知っているかといえば、手芸サークルとは無関係なものの、その分裂で被害を受けているひとりだからだ。
「そのマンション以外のママも、とばっちり受けたりで大変なんですよ。手芸サークルとは無縁の私達も分裂チームの名前と顔を覚えておかないと大変な事になるんです。仮に片方のチームのママといる時、同じチームのママの悪口でも言おうものなら、私まで無視されるから…」
こうした理解しがたいママ友トラブルーー男にとってはあまり聞かない話かと思うと、そうでもないらしい。
「これくらい普通ですよ。彼女らもたぶん一度は夫に愚痴っているはずです。でもそれこそ女性特有のトラブルで『何を言っているかわからない』から適当に聞き流しているんでしょ、男性は」
すでに子供も成人し、ママ友関係を卒業したＤさんが、苦笑しながらさらに続ける。
「私も昔は言ったことあったけど『そんなの適当に受け流せ、仕事で疲れて帰ったのにそんな些細なことでグチグチ言うな』と旦那に言われましたもん。腹が立って八つ当たりして離婚危機にもなりました。でも、これくらいで終わるならですが、後から思えば男性にとっては大した話じゃないのかもしれないですね」
女性たちにとっては日常茶飯事なママ友トラブル。悲惨な結果を引き起こす前に、男性ももう少し耳を傾けたほうがいいのかも…。
●明日配信予定の続編では、さらに深刻になってしまう実例を紹介！
（取材／河合桃子、週プレＮＥＷＳ編集部 文／週プレＮＥＷＳ編集部）