日雇い労働者の街として知られる大阪の西成(にしなり)あいりん地区で、中国人女性のいるカラオケ居酒屋、通称“中国人ガールズバー”が急増中だという。
この3年で続々と店が増え、その軒数は、萩之茶屋本通商店街を中心に今や100店近く。しかも、どの店も大盛況というからビックリだ。常連客のひとりが中国人ガールズバーの魅力をこう語る。
「安くて明朗会計なんや。カラオケ代は1曲100円で、酒は客も女のコもすべて1杯500円。しかも女のコは若くてべっぴんが多い。北新地の高いカラオケバーより、ずっとリーズナブルやで」
実際に週プレ記者も入店してみたが、確かに安い。ママと女のコにドリンクをごちそうして小一時間過ごした代金はたったの2千円だった。
ただ、これだけ外国人経営のバーが増えると、地元住民とのトラブルが多発してもおかしくない。住民のひとりがこう悲鳴を上げる。
「カラオケは午後11時までと警察から指導されているのに朝まで平気で続ける。しかも店のドアがただのガラス戸だから、音が外に漏れてうるさくてかなわん。ゴミ出しのルールも守らんし、これまで何度パトカー呼んだかわからん。あいりん地区は中国人に乗っ取られてしもうたな」
一方で、こんな擁護の声も。「この辺りの商店街は経営不振や経営者の高齢化でシャッター通りに成り果てていた。地区の活性化を考えたら、街が死んだみたいになっているよりは、中国人ガールズバーでも営業してくれたほうがずっとましや」(地元商店主)
中国人ガールズバーをめぐる地元の評価は真っぷたつに割れているのが現状だ。
それにしても、どうしてあいりん地区に中国人ガールズバーがこんなに増えたのか? 取材をすると、仕掛け人がいることがわかった。地元で不動産業などを営む中国人のR社長だ。さっそく直撃した。
商店街全体をチャイナタウン化したい
「来日したのは20年前。居酒屋経営で儲けたお金で3年ほど前、シャッター街になっていたこの近辺の空き家を買ったんです。当時、80軒あった店のうち、営業しているのはたったの5店舗。このまま商店街を真っ暗なままにしとくのはよくない。そこで空き家を何軒かのテナントに改装して、在日中国人に貸し出すことにしました」(R社長)
すると、5人の中国人がテナントを借り、そろってカラオケ居酒屋をオープンさせたという。R社長が続ける。
「この立地ではカラオケ居酒屋くらいしか営業できないと、店子(たなこ)さんが口をそろえて言うんです。以来、空き店舗を買ってはテナントに改装して貸し出すことを繰り返し、今ではガールズバーの店子さんは20店ほどに増えました。ほかの80店近くのガールズバー? それはうちのテナントが繁盛していることを聞きつけた、他の中国人や韓国人、フィリピン人が出店したものです。日本人経営の店もありますよ」
そんなR社長の夢はさらに空き店舗を買い増して、商店街全体をチャイナタウン化することだという。
「この界隈(かいわい)をいつか、ラーメン屋、ギョーザ屋、中国衣料品店など中国のものならなんでもそろう一大中華街に生まれ変わらせたいんです」
果たして近い将来、チャイナタウンとして名をはせる日は来るのか?
(取材・文/ボールルーム)