世界を震撼させた「イスラム国(IS)」によるフランス・パリの卑劣な同時多発テロ。ISはさらなるテロを予告しており、もはや世界中が“候補地”といっていいーー。

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11月13日金曜日の夜(現地時間)、フランスの首都パリで発生した、過激派組織「イスラム国(IS)」による同時多発テロ。銃乱射と自爆攻撃による死者は130人以上、負傷者は約350人に上った。今年1月に風刺週刊誌『シャルリー・エブド』編集部がアルカイダ系武装グループの襲撃に遭って以来、パリでは当局が最高レベルの厳戒態勢を敷いていた。しかし、今回はその中でも警備の手薄な場所が狙われたようだ。

ある民間軍事警備会社で対テロ警備任務に従事するコントラクターA氏はこう語る。

「1月のテロは重要警戒対象の“ハードターゲット”を狙ったものでしたが、今回は不特定多数の市民が集う“ソフトターゲット”への無差別攻撃。これをすべて未然に防ぐのはかなり難しいと言わざるを得ません。一連の攻撃は、ISのネット宣伝に共鳴したフランス在住で土地勘のある“ホームグロウン・テロリスト(以下、HGT)”が計画を先導。そこにシリアやイラクで訓練を積んだ偽装難民や、隣国ベルギーを本拠地とするテロリストが合流したと思われます」

これを受け、フランスのオランド大統領はISとの「戦争」を宣言。国内で過激派の摘発を進めるとともに、ISの本拠地であるシリアでも空爆を強化する方針だ。

一方、ISは11月16日に「さらなるテロ」を予告。現地時間11月17日には、ドイツ・ハノーバーで救急車を装った爆弾搭載トラックが発見され、アメリカ発フランス行きのエールフランス航空機2便も爆破予告を受けて緊急着陸を余儀なくされた。

国際ジャーナリストの河合洋一郎氏はこう警告する。

「ISの犯行声明が事実なら、10月31日のエジプト上空ロシア機爆破テロ(224人死亡)、11月12日のレバノン・南ベイルート自爆テロ(43人死亡、240人以上負傷)、そして13日のパリと、わずか2週間の間に外国で3件の大規模テロを成功させたことになります。いずれも計画と準備の周到さ、実行犯の大胆かつ正確な動きは、以前のようなHGTによる単独テロとはまったくレベルが違います。

ISは次のターゲットをアメリカ・ワシントンDCと公言していますが、特殊な大規模テロを事前予告するはずはない。実際には全く別の場所に出てくる公算が大きいでしょう。とはいえ、EUではマークがきつくてしばらく身動きが取れないし、ロシアにまた手を出してプーチン大統領を怒らせれば、本当に殲滅(せんめつ)されかねません。

そう考えると、まだ対ISの空爆に参加していない国も十分に“候補地”となり得る。しかも、ISが過去に『敵』と名指しした62ヵ国の中でも、日本はISの機関誌『ダービク』の巻頭序文で取り上げられたこともある『特別な敵』。アメリカの同盟国で、かつガードの甘い日本が標的となる危険性は否定できません」

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■『週刊プレイボーイ』49号(11月23日発売)「総力特集 パリ『IS乱射テロ』後の世界 Part1」より

(取材・文/小峯隆生)