メタルが美しく、いつどこでも正確に時を刻める、世界初・GPSハイブリッド電波ソーラーを搭載。(右)MTG-G1000D-1AJF(16万円+税)(左)MTG-G1000D-1A2JF(16万円+税)

ある日、友人がフルメタルのごつくてカッコいい時計をしていた。ついに高級時計を買ったかと思い、聞いてみると「これ、G-SHOCKだよ」との答え。

昔のG-SHOCKといえば、樹脂製でタフであるというイメージがあり、豊富なカラーバリエーションに加え、様々な限定モデルに心躍らせられた記憶がある。彼女もいないのにペアモデル「ラバーズコレクション」を買おうとしたこともあった。しかし、それから時が流れ、自分の周りで話題となることはなくなっていたがーー。

調べてみると、なんと現在、97年のブームを凌(しの)ぐ、第二次G-SHOCKブームが来ているという。そう、トンデモないことになっているのだ。

カシオ計算機が発表した2015年4~6月期の連結決算では、純利益が過去最高を更新したらしい。主力の腕時計「Gショック」の好調がけん引したとのこと。「今のG-SHOCKってどうなってんの?」と猛烈に気になり、カシオ計算機さんに押しかけ、時計戦略部プロモーション室長の上間さんにいろいろとお伺いしてみた!

-今ぶっちゃけ、G-SHOCKってどのくらい売れているんですか?

上間 直近の2014年度では年間730万個出荷しました。97年のブームの時で、1年間で600万個出荷ですから、今が最も多いですね。

-僕は90年代のブームに踊ったクチですが、いつの間にか、あのピークの97年を凌ぐ第2次ブームが来ていたと?

上間 確かに第2次ブームが来ているのですが、第1次は日本を中心としたブームで、例えば世界中に旅行した日本人が海外モデルを買い求めているという感じでした。感覚的には、7割方は日本で作られたブームですね。

ところが、今回は日本だけでなくアメリカやアジアなど全世界で現地の人たちに買っていただいています。これがトレンドウォッチとしてブームとなった前回との大きな違いです。

復活の鍵は電波ソーラー化!

カシオ計算機・時計戦略部プロモーション室長の上間氏。

-97年のピークを最後にG-SHOCKの売り上げは右肩下がりで、2001、2002年には出荷数200万個と激減しています。その後、2008,9年にまた再び売り上げが伸び始めるわけですが、そこには何があったのですか?

上間 これまでのタフさに加え、時計としての価値を高めることを始めました。具体的には、世界6局の標準電波で時刻を合わせ、太陽光でパワーを作る“電波ソーラー化”をスタートさせたわけです。そこから急にムードが変わっていきました。

もちろん機能面の進化だけでなく、同時に全世界で流通・メディアに向けて「SHOCK THE WORLD」という、スポーツ、ファッション、音楽、アートといったカルチャーを絡(から)めたプロモーションイベントを行ない、「なぜG-SHOCKがスゴいのか」を真面目に現地の方々へ伝えてきました。

時にはG-SHOCKを生み出した開発者の伊部菊雄を呼び、G-SHOCKの開発ストーリーを語りもしました。このように時計としての機能の進化に、うまくマーケッティングが絡み始めてV字回復を遂(と)げたわけです。

-現在はどんなG-SHOCKを作っているんでしょう?

上間 大きく分けると、従来の若者系のジャンルと、実用性を極限まで高めたモデルがあります。

-実用性を極限にまで高めたモデルって…。

上間 「MASTER OF G」というシリーズで、レスキュー隊などでリアルユースできる時計です。過酷な環境下での使用を想定し、G-SHOCKが誇る耐衝撃構造にさらなる特化機能をプラスし、極限を生き抜くプロフェッショナルのための時計を作りました。

プロ仕様で特化した優れモノが続々!

マッドマスター GWG-1000-1A3JF (8万円+税)

-特化機能ってどういうものですか?

上間 陸、海、空といった各分野のプロフェッショナル用に特化した機能で、例えば、ジャングルや砂漠など土砂や瓦礫(がれき)が積もる厳しい環境でミッションを行なうプロフェッショナルの使用をイメージしていて、新開発の防塵・防泥構造が砂・泥・塵などの侵入を防ぎ、劣悪な環境下でも確実な動作を保障しているマッドマスターという時計があります。この時計はサバイバルに欠かせない、方位、気温、高度などの重要な情報を瞬時に知ることができるトリプルセンサーも搭載しています。

また、荒れた海で過酷な任務を遂行する人たちのために気圧や温度、方位の計測が可能なガルフマスターという時計もあります。これで天候の悪化を予測し、進行方向の決定や環境変化の把握に使えます。

ガルフマスター GWN-1000-1BJF(57000円+税)

さらに、空を駆け廻り、世界中を移動する人たちのために「GPSハイブリッドシステム」という、GPS衛星電波(位置情報からタイムゾーンを判断)と標準電波(世界6局より受信)の両方を使った時刻情報取得の相互補完システムを実装したグラビティーマスターという時計もあります。まさに世界中に死角なしで、どんなところでも正確な時間を知ることが出来ます。

グラビティーマスター GPW-1000-1AJF(10万円+税)

これは世界初の技術です。また、GPS衛星電波の受信機は本来大きなもので、それを他のセンサーと共に衝撃力、遠心重力、振動の3つの重力加速度に耐える、新たなタフネス構造に収納するのにカシオの高密度に詰め込む技術が生かされています。

-すごいですね。一般人だと持て余しそうな気が若干しますが…。

上間 格好だけじゃなくて、ちゃんと使えるのがG-SHOCKなんですよ。そこにブランドの信頼感があるわけです。

-おおっ、なるほど…。ところで気になるお値段は?

上間 「MASTER OF G」のアナログ表示のタイプのもので、定価5万円台から14万円台まであります。最近では知人から「(G-SHOCKって)こんな高いの出していたんですね!」って驚かれることがよくありますね。

●この続き、後編は明日配信予定!

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/松井秀樹)