『週刊プレイボーイ』49号では漫画家・成田アキラ先生が語る「伝説ののぞき魔」たちの逸話も紹介

生まれ変わったら道になりたい――。

2年前、日本犯罪史に残る名ぜりふを残した〝側溝マン〟が帰ってきた。11月9日、道路の側溝内に潜り込み、女性のスカートの中をのぞこうとした容疑で兵庫県神戸市東灘区の28歳男性が逮捕されたのだ。

日々のニュースに登場する変態をインパクトによってランク付けする、2ちゃんねるの「変態番付」で2年前に「側溝道」の四股(しこ)名をつけられ、今回の事件を受けて横綱に昇進を果たした〝側溝マン〟。常人には理解できない彼の心理とは? サブカルチャーやカルト文化に詳しい評論家の唐沢俊一氏がこう解説する。

「実は、江戸時代にも『板になりたや 女湯の板に おそそ舐(な)めたり ながめたり』という俗謡がありました。女湯をのぞきたくてしょうがないから、いっそのこと女湯の板になりたいという男の気持ちをうたっているんです。300年近くもの間、日本人の性癖は変わっていないということでしょうね」

唐沢氏は続けて、〝のぞき魔〟と呼ばれる人たちは再犯率が非常に高いと指摘する。

「のぞき趣味のない人間からすると、のぞいた先に何があるんだと思いますよね? たかだかスカートの中をのぞいたところで下着が見えるだけなのに、なぜ〝のぞき魔〟はそんなにも執着するのか。

強盗や強姦(ごうかん)をするわけでもなく、ただ“見るだけ” なのに、もしバレたら人生が終わってしまう。その〝大きすぎるリスク〟が彼らを刺激し、極上のスパイスとなって何度も犯行に駆り立てるのでしょう」

確かに、例の〝側溝マン〟も取り調べで「多い時で年間80回ぐらい側溝内に入った」と打ち明けていた。

さらに、「自分の長所はどこでも寝られること。短所は側溝に入ってしまうこと。興奮してやめられない」とも供述している。

「女性が側溝の上を通り過ぎるのなんてほんの一瞬だから、実際にはろくにパンツも見えていないはずですよ。おそらく、彼がのぞいていたのはスカートの中じゃなく、彼自身の頭の中。チラリと過ぎ去るスカートを〝オカズ〟に『こんなパンティかもしれない!』と脳内で妄想を膨(ふく)らませていただけなのかもしれません」

その〝クリエイティビティ〟をもっと別のところに生かせよとツッコミたくなるが…。

「想像力と知的好奇心がある程度ないと、のぞきは楽しめません。のぞきを文学にまで高めた江戸川乱歩をはじめ、谷崎潤一郎や三島由紀夫という大作家の小説にもたびたび〝のぞき魔〟が登場する。本人は否定していましたが、あの寺山修司は晩年、のぞきで捕まりました。

天才と呼ばれる人たちは多かれ少なかれ、そういう素養を持ち合わせていたわけですからね。〝側溝マン〟の今後に期待…しちゃいけませんかねえ(笑)」

どこまでも深い“のぞき”の闇とは…! 週刊プレイボーイ49号では、さらに漫画家・成田アキラ先生が出会った「伝説ののぞき魔」たちの逸話をお読みいただけます。

■『週刊プレイボーイ』49号(11月24日発売)『「クリエイティブのぞき魔」列伝 Part1』より

(イラスト/室木おすし)