スマートフォンが普及したことで、今や1万円以上を払うことも珍しくなくなった携帯電話の料金。その負担の大きさが問題視した政府は、携帯キャリア大手3社に料金プランの見直しを求めている。

しかし、これには歓迎する声がある一方で、民間サービスへの国の介入には「行き過ぎ」との批判もある。『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏も、同じような疑問を感じたという。ひろゆき氏が言う。

「ユーザーにとってはいいことですけど、携帯電話料金の値下げってわざわざ国が言うことじゃないと思うんですよ。それに、日本って携帯電話だけじゃなくて固定電話の通話料も他の国に比べると高いほうだったりしますよね。ちなみに、フランスの固定電話から日本の固定電話への通話料は無料だったりします。

電話料金って海外はすげー安いんですよ。だから、『固定電話も含めて通話料ぼったくりすぎじゃね?』って言うならわかるんですけど、そうじゃなくて『携帯電話料金だけ高い』って言うのは違うんじゃないかと」

これに堀江氏は「携帯電話会社は限られた電波帯域を利用した公共性の高い事業なのに、大手3社で2兆円もの利益を上げている」ため、料金を下げろと言われるのもわかると一定の理解を示しつつも、政府には値下げを求めることよりも、まずやるべきことがあると指摘する。

「まずは周波数オークションを導入するのが筋だよ。これは電波の利用を希望する企業が集まってオークションをするやり方で、欧米では普通に行なわれているんだけど日本ではやってない。だから日本のTV局や携帯電話会社は格安で電波を利用できるんだよ。

政府が本当に携帯電話料金を下げたいなら周波数オークションはかなり効果的なはず。例えば、オークションの条件を新規参入業者が有利になるようにするだけで競争は激化するから料金は自然に下がると思うよ」

現在は寡占(かせん)状態にあるから携帯電話の料金は割高になっているものの、そこに市場の競争原理が入ってくれば、自然と値下げが起こるはずだというのだ。従って政府が今やるべきことは「競争を促進する政策」だと堀江氏は提言する。

政府は安すぎる電波利用料金にメスを入れられない!

しかし、なぜ周波数オークションは実現されないのか? 「結局、政府はTV局の安すぎる電波利用料金にメスを入れられない」として、マスメディアの利権が背景にあると語る、堀江氏。これにひろゆき氏もうなづき、

「メディアにいい顔をしたい安倍政権はTV局の電波利用料値上げはやらないでしょうね。あれだけ問題のあった東京電力にも『発電と送電を分離する」って話がありましたけど、今まで通りですし。ヘンだとは思いますけど、とりあえず携帯電話会社を仮想敵にしておけばガス抜きができるって感じなんじゃないですかね?」

現状でも大手キャリア3社を利用しなければ、割安で携帯電話を使うことはできる。それは「楽天」や「DMM」などが携帯キャリアの回線を利用して提供している「MVNO(仮想移動体サービス事業者)」だ。しかしサービス開始から時間が経ったものの、未だに利用者数は少ないままというのが実態だ。

その理由は、やはり通信回線の悪さ。だいぶ改善されてきたとはいえ、どうしても大手キャリアの回線に比べると、遅いと感じてしまう。そのため堀江氏も「(スマホの)ヘビーユーザーにはちょっとキツイかな」と語る。

また、携帯電話料金が高騰した理由のひとつが端末価格の上昇だ。特にiPhoneはパソコンよりも値段が高く、その購入代金が利用者の財布を圧迫している。

「iPhoneとか上位機種だと10万円しますからね。とはいえ、分割とか割引によって端末をあれだけ安く買えるのって世界でも日本くらいです。他の国だと分割を踏み倒す人もいるので、長期契約をそこまで優遇できなかったりしますから。あと、消費者保護の目的で解約時の違約金みたいなのが認められてなかったり」(ひろゆき氏)

しかし、「その高額な端末価格のおかげで、センサーとかスマホの各種技術が飛躍的に進化してるのも事実」だと堀江氏は指摘する。いずれにせよ、現状の料金制度は一長一短。月々の携帯電話料金がどうしても気になる人は、MVNOが使える端末を安く購入し、格安SIMを使うという選択肢しかないようだ。

果たして、問題を根本から解決できると期待される「周波数オークション」はいつになったら実現するのだろうか?

●この記事の全文は『週刊プレイボーイ』49号でお読みいただけます。