今年「よくできてる!」と評判となり店頭でも販売となった東京都配布の冊子。備えあれば…

11月19日に東京・八丈島で「50年に一度」の大雨が降ったかと思えば、11月25日には北海道・札幌が「62年ぶり」の大雪に見舞われた。

思い返せば2015年は「50年に一度の○○」や「70年ぶりの××」といった異常気象の多い年だった。

しかし、来年はそれどころではないという。まず、今年の夏に歴史上有数のエルニーニョ現象(海面水温が高くなる現象)が起こったことで暖冬が予想される。すると、太平洋側に大雪が降る可能性が高いと見られている。

その仕組みを、首都大学東京名誉教授の三上岳彦氏が説明する。

「西高東低の冬型の気圧配置になると、普通は日本海側に雪が降って太平洋側は晴れます。しかし暖冬になると、その気圧配置が緩んで、低気圧が日本の南側を通過することが多くなる。そのため太平洋側で大雪が降る可能性があるのです。東京で12月ではなく、2、3月になってから雪が降ることが多いのも、春になって気圧配置が緩むからなんです」

さらに、東京大学大気海洋研究所副所長の木本昌秀教授がこう警告する。

「また、エルニーニョの時は冷夏になります。冷夏は梅雨前線が活発になり、気温は高くないけれども雨がたくさん降る。集中豪雨や洪水などに注意が必要です」

2016年の予測としては、これでもまだ序の口だ。それは今年、異常気象だけではなく、噴火や地震などの自然災害も多い年だったことに表れている。ざっと振り返ってみよう。

●5月:箱根・大涌谷で「水蒸気噴出」。岩手県で「震度5強の地震」。茨城県で「震度5弱の地震」。口永良部島まで「爆発的噴火」。小笠原沖で「マグニチュード8.1の巨大地震」

●6月:浅間山が「噴火」

●8月:桜島で活発な火山活動が続き「警戒レベル4」に

●9月:東京湾を震源とする「震度5弱の地震」。阿蘇山が「噴火」

マグニチュード9クラスの地震が発生しないと…

琉球大学名誉教授の木村政昭氏が話す。

「この2年間の日本列島や周辺海域で起きた地震や噴火は、東日本大震災を起こした太平洋プレートの西進運動が衰えていないことが原因です。そして、この動きはすぐに収まるとは考えられません。

また、小笠原諸島の西側にある西之島で2年前から噴火が始まりましたが、このマグマ噴出が一向に収まらないのは、フィリピン海プレート内部の圧力が非常に高まっている証拠で、これは伊豆・小笠原諸島の海底でマグニチュード9クラスの地震が発生しないと解消されないでしょう。

この地震が起きた場合、本土に伝わる地震の揺れは震度5強程度ですが、怖いのは津波です。おそらく波高10mから20mの大津波が関東から四国の広い地域に押し寄せます。

しかし、それよりも心配なのは富士山の再噴火です。今年前半から始まった箱根噴火活動を見ても、富士火山帯の地下マグマ量の増加が想像できます。富士山噴火はいつ起きてもおかしくありません」

果たして、2016年はどんな1年になるのだろうか。豪雨や地震、噴火による被害が少ない年になることを祈ろう。

(取材/村上隆保 取材/有賀 訓)

週刊プレイボーイ50号「2015年『異常気象&自然災害』総まとめ&2016年大予想」より