北青山にオープンしたハンバーガーチェーン「シェイク シャック」が人気だ(イラスト/西アズナブル)

11月に東京・北青山でオープンしたハンバーガーチェーン「シェイク シャック」が人気だ。

ニューヨーク発・世界9ヵ国で展開する同店は今回が日本初上陸。食べ応えのあるグルメバーガーが話題を呼び、オープン早々から2時間待ちの大行列となっている。

『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏も興味津々。しかも堀江氏は、すでに並んで買ってきてもらい、実際に食べてみたという。果たして、1個580円のハンバーガーの感想は?

「ニューヨークでも行列ができる大人気店らしいけど、日本だと微妙かも。チェーン展開しても『モスバーガー』や『フレッシュネスバーガー』っていう強豪と真っ向勝負になるし、この強気の価格設定だと正直厳しいと思う」

意外にも辛口評価の堀江氏。一方、ひろゆき氏はそもそもまだ食べていない人ばかりにも関わらず行列となっている現状を評して、「最近は料理を味ではなくて“情報”でありがたがる傾向が強くなっている気がします」と指摘する。

「シェイク シャック」ならば、「ニューヨーク発」という謳(うた)い文句が、その“情報”にあたる。

「同じように『フランス直送』とか『○○セレクション受賞』という情報をありがたがる人も多いですよね。映画とかだと、『全米が泣いた!』レベルの曖昧(あいまい)な情報もあったりしますけど」(ひろゆき氏)

実はこうした例は、海外の企業だけではない。日本の飲食店にも情報をありがたがる傾向を活用しているケースがあるという。堀江氏が例に挙げるのは、とんこつラーメンの人気チェーン店「一蘭」だ。

「一蘭って、それぞれの席に仕切りがしてあって、半個室状態になってるでしょ? だから友達と食べに行ってもほとんど会話をしないわけ。で、ラーメンを待っている間にお客さんが何をするかというと、のれんとかに書いてある創業ヒストリーを読むんだよ。

んで、『創業者がラーメン店で修業せずに日本全国の和食店を食べ歩いて味を作った』っていうエピソードが書いてあって、それを読んでから食べるとラーメンのおいしさが倍増したりするの。

それに普通のラーメン屋さんと違って厨房をのぞけないシステムになっているから、お客さんは『お店でスープを作ってる』と思い込むわけよ。本当はセントラルキッチンから運ばれてくるんだけどね。でも、それで味を安定させることができるし、お客さんはありがたがる。一蘭の情報ビジネスは巧(たく)みなんだよね」

どこまで日本市場向けにローカライズできるか

その意味では、「シェイク シャック」の成功も情報の取り扱い方にかかっているといえる。そこでひろゆき氏は、海外での経験から「食べ物に対して新しいものや珍しいものを求める風潮って、日本特有な気がしてます」と語る。

「例えば、日本のお菓子って期間限定の味が出るじゃないですか。ポテチやチョコなんか、定番の味とは別に『冬の○○味』とかが出てますけど、そういったのを他の国であまり見たことないんですよ。

日本だとファストフードのメニューもシーズンごとに変わったりしますよね。マクドナルドなら『月見バーガー』とか『グラコロバーガー」とか。季節ごとに展開してるじゃないですか。アジアとかだとたまにありますけど、基本的にはほとんど見ないっすね。そもそも四季がはっきりしていたり、毎日同じものを食べることをイヤがる国って世界を見渡しても少ないですから」

こうした日本人の傾向を加速しているのが、SNSの普及にあると堀江氏。「ツイッターとかインスタグラムでリア充アピールをしたい人にはピッタリ」だからだ。

しかしそれは、“熱しやすく冷めやすい”という国民性であることも意味する。来年の3月には再びアメリカからハンバーガーチェーン「カールスジュニア」の日本進出も決まっている。その時、「シェイク シャック」から「カールスジュニア」へ、そしてまた別の店へ…と人々の興味があっさり移り変わってしまう可能性はある。

「さっきも言ったけど、ライバルになるモスバーガーやフレッシュネスバーガーは強豪だからね。ただ、『シェイク シャック』の運営元は『スタバ』を日本で展開して成功に導いた『サザビーリーグ』でしょ。今後、どう展開していくかが注目だね」(堀江氏)

結局は、「日本初」「ニューヨークで人気」といった謳い文句だけでは人気は持続しない。どこまで日本市場向けにローカライズできるか。「お手並み拝見」だと、ふたりは対談を締めくくった。

●このコラムの全文は『週刊プレイボーイ』52号でお読みいただけます!