性的表現が含まれていた問題集。執筆した霜栄氏は駿台の看板講師だった

大手予備校「駿台[すんだい]予備校」の現代文講師が執筆し、系列会社の駿台文庫が昨年2月に出版した大学受験生向けの漢字問題集『生きるセンター漢字・小説語句』に性的な表現が含まれていたとして、同社は1月13日、同書の販売停止と店頭からの在庫回収を決めた。

同書には、例文中のカタカナで書かれた言葉を漢字に置き換える設問があるが、なんとそこには、「彼女のなだらかなキュウリョウをうっとりと眺めた」「胸のデカさに俺はキョソを失った」「教授と私のミッセツな関係を誰にも気づかれてはいけない」「敏感なところは強くシゲキしちゃだめよ」「彼女がリズミカルにシめ付けてきた」「ゆっくり奥までソウニュウしてください」といったトンデモ例文が、至る所にちりばめられているのだ!

駿台予備校などを運営する駿河台(するがだい)学園によれば、同書は2万8千部発行され、一部は高校の教員にも配布されている。それを自分の高校で配られたという女子生徒の親がSNSに投稿し、さらにツイッターを通じて抗議の声が拡散したため、今回の回収措置に至ったようだ。

執筆した講師の霜栄(しも・さかえ)氏は騒動後、「受験生の役に立とうと、記憶に残る例文を作成した」と釈明。しかし、記憶うんぬん以前に、受験生向けの問題集には不適切な表現であることぐらい、日本語を教えるプロならわかりそうなもの。ひょっとしてこの霜氏、駿台の中でもよほど札つきの現代文講師なのか?

が、事実はまったく逆らしいのだ。ライバルの大手予備校で現代文を教えるA氏が、霜氏の人物像を語ってくれた。

彼に比べれば、林修氏はまだまだ青二才

「東大文学部卒で現在50代。いつもラフで若作りな格好をしているのでそうは見えませんが、全国の駿台はおろか、日本の全予備校の中でも一、二を争う実力と人気を誇る〝生きる伝説〟です。彼に比べれば、TVでおなじみの林修氏(東進ハイスクール・現代文担当)などはまだまだ青二才。

現代文、特に読解問題は勘やフィーリングの領域だと思われがちですが、むしろ正しい答えを論理的に導かねばならない科目。霜氏はその原理原則を非常にわかりやすく教えられるのです。しかも気さくな語り口で、よく生徒を笑わせる。だから文系はもちろん、現代文に苦手意識を持ちがちな理系の生徒からも人気なのです」

そんな看板講師だから、霜氏は過去にも数多くの参考書や問題集を執筆。しかも今回騒動になった問題集は、女性の編集者が事前に目を通していたという。にもかかわらず、なぜあんな内容に?

「本人は教室でのヨタ話の延長でユーモアあふれる例文にしたつもりかもしれませんが、女性蔑視表現が含まれているのは火を見るより明らか。ベテランの看板講師だからこそ、長年、神格化されるうちに言語感覚が麻痺(まひ)してしまったのでしょう。しかし周囲は、ヘタに例文の問題点を指摘して彼がヘソを曲げ、他の予備校に移籍してしまうのを恐れ、誰も意見できなかったのでは」(A氏)

2015年度の駿台予備校首都圏版の入学案内で、霜氏は入学希望者に対して「過去を裏切れ!」とメッセージを送っているが、確かに過去の問題集の常識を裏切った一冊といえるかもしれない。

(取材・文/本誌ニュース班とたかぽー)