昨年12月から突如、全店休業状態に入った出会い喫茶ハナコ。店の扉には『臨時休業』との張り紙があり、今のところ営業再開の見込みはない

首都圏に12店舗を構える「出会い喫茶 Hanako(以下、ハナコ)』が、昨年12月からなぜか全店休業の状態にある。

出会い喫茶は、大きくはナンパ部屋と逆ナンパ部屋のふたつの業態に分かれる。マジックミラー越しに指名した女性と店外デートを楽しむのがナンパ部屋。女性がプロフィールカードを見て話したい男性を選び、店の個室の中で男女ふたりきりで談笑したり、お酒を飲んで楽しむのが逆ナンパ部屋。ハナコは後者にあたる。

ある常連客(30代・男性)がハナコのシステムについてこう話す。

「基本料金は1時間4200円、延長料は30分・2100円です。店に入るとまずプロフィールカード(ニックネーム、年齢、女性のタイプなど)を記入し、個室に案内されます。個室は畳2畳ほどと狭く、ソファと薄型TVとウエットティッシュが備え付けてあり、明かりの調光も可能。ボクの場合は部屋を薄暗くしてムードを演出し、TVを見ながら女性がやって来るのを待ちます。

扉を『コンコン』とノックされた時のドキドキ感がたまらなくて、どんなコかなぁ~と楽しみに扉を開け、容姿がタイプじゃなかった時はチェンジすることも可能です。

女性がソファに座ると体が密着し、お酒を飲んで盛り上がれば、個室内でムフフな展開もあります。ボクが思うに、ハナコとはシロウト専門の〝個室キャバ〟でありつつ、その場の雰囲気、女性との相性次第でどうにでもできる〝フリースタイル風俗〟。店に行けば“個室で何かが起きる!”と期待できるから病みつきになるんです」

ハナコの魅力について、風俗ライターのA氏もこう話す。

「平日・休日問わず、店に行けば必ず数人の男性客が並んでいる人気店。ハナコが人気を集めた理由は、女性客が多かったこと。10代後半~40代の女性客が出入りし、女子大生、OL、出勤前のキャバ嬢・風俗嬢、不倫願望のある主婦…と、あらゆる男性の嗜好(しこう)に応える女性が集まり、客数も多いから個室の中で男性が待たされる時間も少ない。“新規”の女性客が次々と入店してくるので、毎回、新しい出会いを楽しめました。

一方、他店では女性客が固定化し、2、3回、店に通うと出会いが一巡。『また会ったね』『先週も会ったね』と、個室の中で気まずい状態になる店が多く、女性の質も陰気なコ、酒臭いコ、巨漢のコ、オバさん…と非常に残念な感じでして(苦笑)。ハナコは出会い喫茶の中では“替えの利かない店”でした」

このまま全店閉店になる可能性も…

だが、そのハナコが全店休業。それから1ヵ月以上経った今も、営業が再開される気配はない。一体、何があったのだろう。都内にオフィスを構える、フーゾク店専門の行政書士B氏がこう話す。

「警察の手が入ったのは間違いないでしょう。風営法上の届出を行なうことなく無許可で営業を続けていたか、店内で援助交際が常態化していたか。それとも女性客に報酬を与えて売春行為をあっ旋していたか…。1ヵ月以上も休業している状況を考えれば、なんらかの違法行為があったと思われます。営業再開の見込みがないとはいえませんが、恐らく、このまま全店閉店となってしまうのでは」

ちなみに、情報サイト「出会い喫茶ナビ」によれば、現在、出会い喫茶の店舗数は約60店舗。その歴史をざっくり説明すると…。

「日本に出会い喫茶が誕生したのは1998年。大阪・難波で営業を始めたナンパ部屋が出会い喫茶のルーツとされます。その後、首都圏を中心に店が増え始めたのが2000年代前半で、最盛期の07年頃には120店舗まで増えました。しかし、2011年にそれまで風営法の規制対象に入っていなかった出会い喫茶を『風俗営業』とする新風営法が施行。それから取締まりが強化され、店舗数が激減しました」(前出・B氏)

現在、約60店舗ある出会い喫茶の中で、逆ナンパ部屋はハナコ以外では数店舗しかない。

「ハナコがなくなれば、事実上、逆ナンパ部屋は日本でほぼ壊滅状態となります」(B氏)

そして、常連客からはこんな落胆の声も挙がった。

「週一回、ハナコで女子大生と酒を飲むのが一番の楽しみだった。オレの心のオアシスが…」(都内30代・会社員男性)

「個室で可愛いコといちゃつけるできる店は他にありません。これから私はどうすればいいのでしょう?」(週3ペースで通い、『ハナコ依存症』を自認する40代・自営業男性)

常連客の多くが営業再開を待ち望んでいるが、店のホームページには『都合により、全店において少しの間、お休みを頂いております。ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご了承くださいませ』と、虚しい知らせが記載されたまま。

替えの利かない出会い喫茶『Hanako』は、このままひっそりと閉店してしまうのだろうか…。出会い喫茶の歴史も風前の灯(ともしび)といえるかもしれない。

(取材・文/週プレNEWS編集部)