日々の仕事に追われる中、突然、親の介護が必要になったら…? 日々の仕事に追われる中、突然、親の介護が必要になったら…?

近い将来、親は介護が必要になる可能性が高い。

要介護認定を受けた高齢者は、65歳から69歳は2.9%だが、80歳から84歳だと約3割、85歳以上は約6割になる(*)。自分の親に介護が必要になったらまず何をすればいいか?(*厚生労働省「介護給付費実態調査月報」平成26年7月、総務省「人口統計月報」平成26年7月データより)

ケアプランセンター・ドルフィン・ケアマネジャー・星幸子氏が教えてくれた。

「『自分だけで面倒を見なくてはいけない』と思い込んでいる方も多いですが、公的な介護サービスの利用を考えましょう。

そのためにはまず、住んでいる市町村や地域の相談窓口(地域包括支援センター)に要介護認定の申請が必要です。『要支援1~2』『要介護1~5』と認定されれば、公的介護保険が適用され、介護サービスの利用費の自己負担を抑えられます。『非該当(自立)』でも、市町村の地域支援事業の介護予防サービスなどは受けられます」

だが、実際に親を介護することになった時に問題となるのが、仕事と介護の両立だ。

アベノミクス“新3本の矢”に盛り込まれた「介護離職ゼロ」。実際、家族の介護を理由に離職する人は年間約10万人と社会問題になっている。その8割は女性だが、晩婚化などの影響で、介護をする30代、40代の男性は2011年の時点で50万人以上。今後、男性の介護離職も激増するかも…。

しかし、43歳・独身のMさん(埼玉県)は、5年前に父親が脳梗塞(こうそく)で倒れ、勤めていた証券会社を慌てて辞めたことを後悔しているという。

地域包括支援センターは相談も無料

「コンビニでバイトをしながら自宅で介護を続けていますが、貯金は減るばかり。昨年末、施設への入居をイヤがっていた父を説得し、就活を再開したけれど、正社員での再就職は難しくて。親の残した家はあるけど、結婚? まだ先の話ですね…」

そこで、地域包括支援センターの窓口では、在宅で介護をするか、施設に預けるかといった相談も無料でできるという。

「担当のケアマネージャーが要介護者(親)の状態や家族の希望、予算を踏まえて介護プランを立ててくれます。また、介護が始まった後は、要介護者の症状や家庭環境に変化があった場合、必ず報告すること。公的な介護制度は、申請や報告に漏れがあると、本来利用できるサービスを受けられなくなることもあります。注意してください」(前出・星氏)

慌てて介護離職をしたものの、今になってそのことを後悔しているMさん。自分がそうならないために大切なのは、やはり、『ひとりで親の面倒を見なくてはいけない』と思い込まないこと。万が一、親の介護が必要になったら、まずは仕事との両立も含め、介護のプロ(ケアマネージャー)に相談するのが良さそうだ。

『週刊プレイボーイ』6号では、直面する高齢化社会と親の諸問題を大特集。「30歳超えたら知っておけ!『老いていく親の世話』超入門」でお読みいただけます。

(取材・文/羽柴重文 和田哲也 イラスト/はまちゃん)