刑務所で会った覚醒剤常習者たちのほとんどが「罪の意識ゼロ」に見えたと堀江氏は語るが…

今年は年明けからいろんな有名人たちが世間をにぎわせているが、中でも元プロ野球選手の清原和博容疑者が覚醒剤取締法違反で逮捕されたことは衝撃が大きく、いまだに連日、メディアを賑わせている。

『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人ひろゆき氏は、この清原容疑者の逮捕をきっかけにニュースそのものの是非よりも、もっと根本的な点を議論している。

それは麻薬規制のあり方。覚醒剤は大麻などに比べて常習性が強いため、再犯率が高い。そのため、いかに再犯を防いでいくのかも麻薬規制に欠かせない視点なのだ。

まず、ふたりが言及したのは大麻解禁について。日本では違法になっている大麻だが、海外では合法な地域もある。そのため、「こうした海外の動きを見ていると、大麻とかのソフトドラッグは許可してもいいんじゃないかって思ったりする」と堀江氏。

大麻を解禁することで、より常習性が強い覚醒剤などの利用を防ぐ狙いもあるというが、ひろゆき氏は「日本人は本質をとらえようとしないので、変わらない気がします」とそれに悲観的だ。その「本質」とは?

「オランダとか米国のシアトル(ワシントン州)では大麻が合法ですけど、日本人は『なぜ合法なのか?』って考えない人のほうが多いと思うんですよ。ほとんどの日本人は『禁止されてるから危ないものだ』『大麻解禁なんてけしからん』と考えていますよね」

この指摘に堀江氏も、「確かに日本人って『違法だったら悪いもの』という認識は強いよね」とうなずく。

さらに、他にも日本人と海外の人には麻薬規制に関する考え方の違いがあるという。

「海外では『バカなことをするのは本人の自由』『だから何かあっても自己責任でしょ』という考えが強いです。でも日本は、例えばバイクを乗る時にはヘルメットを被ってないといけない。被ってないと交通違反の切符を切られますよね。日本人って、国家に守ってもらいたがってるんですよ」(ひろゆき氏)

「他人に迷惑をかける飲酒運転を取り締まるのは当たり前だけど、ヘルメットの場合は危険なのはライダーだけ。言い方は極端かもしれないけど、『死ぬのは勝手』ということもできるよね」(堀江氏)

そのため、「社会がヘルメットを使ったほうがいいよ」と啓発するのは理解できるが、「被らないと罰する」というのは、大人に対する社会のあり方として、過保護すぎるのではないかというわけだが、そこでひろゆき氏が続ける。

覚醒剤常習者たちの多くが「罪の意識ゼロ」?

「そんで、本質って意味で言うと、『麻薬はダメだけどアルコールはOK』という明確な基準がわからないんですよ。2015年に起きた飲酒運転による死亡事故は203件らしいんです。ってなると、『薬物が危険ならアルコールも同じように危険なんじゃね?』となるのが普通だと思うんですよね。

逆に言えば、もし一切の副作用がなくて、依存性のない薬物が新開発されたとしたら、日本では合法になるのか気になりますね。シンナーや覚醒剤は常用すると健康を害すことが証明されてますよね。そういったものが違法なのはわかるんですけど、健康を害するレベルがアルコールなどと同程度だったら、違法にする理由にはならないですよ」

確かに、“依存症”という意味では、アルコールもニコチンも覚醒剤と一緒だとする見方もあるが…。

「たぶん覚醒剤を使ってても平気な人はいると思し、だからこそ麻薬の合法化も含めて、そのへんはもっと科学的に研究して、適切な規制をすべきなんじゃないかな」(堀江氏)

また、堀江氏は麻薬規制のあり方について、刑務所で会った覚醒剤常習者たちのほとんどが、「罪の意識ゼロ」に見えたと語り、「あれ、絶対に全員再犯すると思う」と警鐘を鳴らす。

「刑務所内の食堂で入手ルートの情報を交換してたりしたからね。俺に『注射器を扱う医療メーカーの株を買ったほうがいいかな?』って相談するやつもいたよ。そんなふうに麻薬犯は常習性が高い割に本人たちの罪の意識は低いので、刑務所に入れる意味はないと思うんだよね」(堀江氏)

「薬物依存になる人は現実逃避したい人が多いわけで、薬物を禁止してもアルコール依存症になったりする人もいますからね。特に清原容疑者は逮捕されたことで、犯罪者ってレッテルを貼られてしまったので、逮捕前よりも現実は厳しくなる。ってなると、薬物じゃなくても別の手段で現実逃避するようになる可能性は高い」(ひろゆき氏)

ちなみに、2014年に大麻が合法化された米コロラド州は、アルコールの税収より大麻の税収のほうが多くなったという。しかも、未成年の利用者は解禁後のほうが少なかった。…ということは、禁止するより、合法化したほうがメリットは大きいと考えることも可能なのか。

違法だから悪いと議論を避けるのではなく、本当に効果的な麻薬規制について、タブー無く議論していくこと、「もっと賢い社会的対策」が必要とふたりは語っているが…。

●この全文は『週刊プレイボーイ』9号(2月15日発売)でお読みいただけます!

(イラスト/西アズナブル)