様々なメディアで発表される「住みたい街ランキング」の常連の街は、人気&オシャレゆえに家賃相場が高止まり状態!
そこで、交通アクセスや住みやすさが抜群なのに家賃も割安な“ガチでコスパのいい街”を徹底調査。
前編の首都圏編では、JR南武線や東急世田谷線の沿線など、メジャーな都市に比べればマイナー感がある街の意外なコスパの高さについて紹介した。
ここからは関西編。選出基準は同じく、次の5つ。
①【家賃】周辺エリアと比較して割安感があるか ②【アクセス】主要ターミナル駅などへ行きやすいか ③【飲食店】ウマくて安いお店がたくさんあるか ④【治安】夜道でも安全で犯罪発生件数は少ないか ⑤【住所】自慢できる“ハクがある”エリアか
まず、『All About』「住みやすい街選び(関西)」ガイドで京都、大阪、兵庫に詳しい不動産コンサルタント、田中和彦氏にコスパの高い街の見つけ方を教えていただこう。
「関西でハクのある住所といえば大阪市内、北摂、阪神間、そして京都。電車の路線でいうなら阪急沿線でしょう。例えば、阪急宝塚線の庄内は、大阪の中心ともいえる梅田まで4駅で10分もかからずに着きますが、庶民的な街並みで家賃も安い。伊丹空港まで20分ちょっとで着くというのも交通利便性の上ではポイントですね。
西院は阪急京都線で住所も京都。でも下町情緒があってコスパは高いです。ふたつ、3つ隣の烏丸(からすま)や河原町(かわらまち)は有名どころなので格段に家賃が高いんですが、西院はいい感じにそのメジャー駅の陰に隠れているので割安です」
そういう意味では大阪市営地下鉄御堂筋線の昭和町もニュアンスが近いという。
「日本一高いビル『あべのハルカス』を擁する、大阪府の南の都心ともいえる天王寺がお隣という好立地ですが、いい意味で天王寺が有名すぎて、昭和町は知名度が低い。その名の通り、昭和の下町情緒が残っていながら、20、30分歩けば『あべのハルカス』まで着きますし、住みやすさは抜群です」(田中氏)
“自分なり”のこだわりに特化させる選び方
首都圏編と合わせ、ここまで不動産のプロの推薦のもと、首都圏と関西圏の穴場な街を紹介したが、最後に“自分なりのコスパの高い街”の開拓法もご教授いただいた。
「当然ですが、気になる街には実際に足を運んでみて、街の雰囲気を肌で感じてみるのが一番。特に平日と休日、昼と夜ではガラリとイメージが変わる街も少なくないですからね。例えば、京王井の頭線の神泉は、近くに都内屈指の高級住宅街である松濤(しょうとう)エリアがあるので閑静な住宅街のイメージもある一方、そのすぐ近くにラブホ街やクラブの密集地帯があるので週末の夜は雰囲気が一変するんです。そういうデメリットとも考えられる部分も納得した上で街を選ぶのがよいでしょう」(不動産コンサルタント会社・さくら事務所代表の長嶋修氏)
なるほど。“街の顔”はひとつではないので、時間によって印象が変わる可能性も踏まえた上で物件選びをしたほうがいいということか。ただ、気になる駅がいくつもある場合は、現地に足を運ぶのだけでもかなりの時間を費やしてしまいそうだが…。
「今はGoogleの『ストリートビュー』をのぞけば、その街のおおまかな雰囲気をつかむことができるので、いろいろとネット上で探索しまくるのがいいのでは? また、『食べログ』でその街の名前を検索すれば、どういった飲食店があり、ランチがいくらぐらいで食べられるかなどもある程度知ることができます。ネットで調べるだけでもだいぶ忠実にその街の暮らしをイメージできると思いますよ」(『住まいのプロが教える30の警告 「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)などの著書がある中川寛子氏)
そして、まさに“自分なり”のこだわりに特化させる選び方もあるという。
「今回挙げた中でいうなら、今津。甲子園球場まで徒歩20、30分の街なので歩けなくもない距離です。阪神ファン、高校野球ファンならかなりプラスαのバリューがあるでしょうね。そういう意味で、自分なりの価値がある街を探すのも物件選びの醍醐(だいご)味だと思いますよ」(前出・田中氏)
今まさに引っ越しを考えているのならば、今回紹介した穴場駅に狙いを定めるもよし、自分なりのコスパの高い街を見つけるもよし!である。
(取材・文/昌谷大介〈A4studio〉)