もともと北朝鮮のシャブは金正日時代、国主導で製造されていた? もともと北朝鮮のシャブは金正日時代、国主導で製造されていた?

現在、日本国内に流通する覚醒剤のうちの何割かが北朝鮮産だという報告がある。

今回、北朝鮮で覚醒剤の密売に関わってきたと語る脱北者との接触にソウルで成功、話を聞くと、驚きの実態が…。

―日本では、先日も有名な元プロ野球選手が覚醒剤で逮捕されました。

「聞きましたよ。キヨハラは国民的なスター選手だったんでしょう? 残念なことですねぇ。覚醒剤は絶対的な悪です。どれほどつらい状況だったのか知りませんが、最低な方法に手を染めてしまったことは自覚すべきです」

―密売人のあなたに言われたくないですよ。

「……でも、私も今となっては自分を恥じているんです。金儲けのために密売に手を出してしまったことに」

―そもそもなぜ密売人に?

「2008年に高校を卒業して就職を考えたんですが、北朝鮮は普通に農業などの労働をしても稼ぎが悪い。そこで、ウチの実家が田舎のちょっとした有力者だったもので、親のツテをたどって密売の仕事を始めたというわけです」

―実際、儲かったんですか。

「月収1千万円ほどの時もありましたね。実は、北朝鮮でも覚醒剤は蔓延(まんえん)しています。海外では末端価格が最低でも1g当たり約500ドル(5万6千円前後)するようですが、北朝鮮の地方都市では、街の小さな商店で10回分の使用量0.1gを1万北朝鮮ウォン(約1270円)で売っている。たばこが3千ウォン(約380円)だから、ちょっと奮発すれば買えるんです。ウチの田舎では鎮痛剤代わりだし、使うと風邪もひかないんです」

―風邪ひいても覚醒剤のおかげで気づかないだけでは?

「当然、金正恩に近い平壌の(朝鮮労働)党幹部たちもやってるでしょうね」

―ホント?

「だって、もともと北朝鮮のシャブは金正日時代、国主導で製造されていたんですよ」

北朝鮮のシャブは国主導で製造されていた

―そうなんですか?

「目的は外貨稼ぎです。南東部の海沿いにある咸興製薬工場という所で多くが製造されていました。表向きはペニシリンの製造工場としてね。当初、集められた科学者は自分たちが何を作るのか知らされていなかったそうです。ところが02年、工場でとんでもない事件が起きました」

―ほう。

「ある日突然、金正日の命令で工場が爆破されたんです。『咸興が覚醒剤の産地だと国際社会に知られ始めた。北のイメージが悪い』と」

―何を今さら…。

「その結果、科学者たちは職を失い、北朝鮮の覚醒剤製造が“地下化”していったんです。科学者も咸興化学工業大学を出たエリートですからね、覚醒剤は儲かるぞと、咸興付近の山地や人里離れた農村に地下工場を造ったわけです」

告白してくれたこの脱北者は北朝鮮北部の会寧(フェリョン)出身。地方の有力家庭に生まれたツテを利用して、08年から覚醒剤の密売に携わっていた。だが、そこで儲けた金で豪遊していたことが朝鮮労働党の反感を買って、14年1月に脱北したという。

ちなみに、そんな彼は清原容疑者が北朝鮮産の覚醒剤を使用していた可能性について「取り調べ中の留置施設で毎晩、夜泣きをしている」という報道を元に「北朝鮮産で間違いない」と言い切った。

北朝鮮産の覚醒剤は完全に抜け切るまで1ヵ月ほど泣き続けてしまう特徴があるというのだ。また、注射での常用らしいと聞くと「北でも注射を使うのはヤバいヤツだとされていました。もしそうなら、薬が完全に抜けるまでは地獄が待っているでしょう」とのこと。

もちろん、これらは推測に過ぎないが、日本に北朝鮮産の覚醒剤が流通し、それが清原容疑者も使用していたものなのか…疑惑は高まった。発売中の『週刊プレイボーイ』12号では、その覚醒剤がどのように作られ、どういうルートで日本に密輸されているのか等、インタビューの全文をお読みいただけます。

■週刊プレイボーイ12号(3月7日発売)「独占告白 脱北覚醒剤ブローカー『キヨハラがやっていたのは、おそらく北朝鮮のシャブだ!』」より