経歴詐称で全レギュラー番組を降板することになったショーンKことショーン・マクアードル川上氏の問題。
「なぜ誰もがダマされてしまったのか?」といった疑問だけでなく、彼を起用したメディア側にも責任はないのかという声も挙がり、まだまだ多くの関心を集めている。
『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏は、また違った視点から、「この問題が起こった原因」について関心を寄せる。
ひろゆき氏がこう指摘する。
「日本って『何をやってきたか』とか『何ができるか』という実態よりも、『大学名』とか『会社の肩書』をありがたがるヘンな風習がありますからね。だから、こういうことが起きるんだと思います」
堀江氏も、「彼とは何回か共演したことがあるけど、当たり障りのないことしか話してなかったもんな」とうなずく。
ポイントは、ショーンKが「コメンテーター」としてメディアに重宝されたことにある。彼は「専門的知識」ではなく、「共感されるコメントを言えること」により、著名人として祭り上げられたというのだ。そこに「何ができるのか」を評価して起用する視点はほとんどないのでは?というわけ。
だから、肩書は立派だけど、実績が伴わない人がコメンテーターになってしまう。
「しかも、きちんとした大学の教授や本当の専門家は、立場的に適当なことを言えないわけですけど、そうじゃない人は適当なことを言っても特に困らないですからね。なので、結局のところTVのコメンテーターには『こいつムカつきますねー』くらいの居酒屋トーク的なコメントができる人が求められるんです。それっぽいことを言えていれば、?でもなんでもいいんですよ」(ひろゆき氏)
そういう意味では、ショーンKはうってつけの存在だった。つまり、今回の件が明らかにしたのは、彼の経歴詐称だけでなく、「TV局側も上っ面のコメントを言う人を集めているのではないか?」という問題だと、ひろゆき氏は疑問を呈する。
「そもそもTV局側はTVのニュースに価値があると思うレベルの人、上っ面の情報でいい人を相手にしているわけです。だって、ニュースを深く知りたいと思う人はネットとかで調べたりしますから。だから、むしろ上っ面のコメントをする人を起用する。逆に複雑なことを言うと『何を言ってるかわからない』って文句が出るとかあるんじゃないすか。
マーケティング的な視点で見れば、直近の対応策としては正しいのかもしれないですけど、長期的に見れば、TVは『頭の悪い人』『収入の低い人』『高齢者』しか見ないメディアになっていくのかなと」
テレビはもうすぐ、現在の勢いを失っていくのではないか
しかしそうなると、もっと深くニュースを知りたい層はTVから離れていく。ひろゆき氏が続ける。
「ニュースの背景とかを知りたくてTVニュースを見ても『しょうもない人が、しょうもないことを言ってるだけ』だったら時間のムダですからね。例えばですけど、今の社会人で『ニュースはTVで知るだけで、ネットでは見ないです!』って言ってる人がいたら、『この人、大丈夫かな?』って思っちゃいません?」
しかし、堀江氏はこの意見に同意しつつも、「でも、世の中の大半はそういう人だと思うし、だからこそTVは成立してるわけでしょ」と指摘するが、ひろゆき氏は次のような予測をもとに、TVはもうすぐ、現在の勢いを失っていくのではないかと語る。
「ただ、今の20代ってTVのニュースがメインの情報源って人は少数派な気がします。想像なんですが、10代から30代くらいまではTVのニュースの主要ターゲットじゃない気がするんですよね。んで、40代ぐらいで半々ぐらいになって、それ以上はTVの割合が増えていくと。ってことで、TVはあと10年くらいしたら今のラジオみたいなポジションになってそう。
だから、ラジオ業界がネットでラジオが聴ける『Radiko』をうまく使って若者の聴取者を増やしたように、TVもなんらかの手を打ったほうがいいと思いますけどねぇ。とはいえ、庶民の娯楽を追求すると『週刊文春』的な芸能人のゴシップだらけになりそうな予感もしますけど。
そんで、結局はまた居酒屋的なトークや上っ面のどうでもいいことしか言わない人がコメンテーターとして重宝されるというオチですかね」
これに対して、やはり堀江氏は次のようにバッサリ。
「ま、TVのコメンテーターはそんなもんなんだよ。視聴者に知識や教養が足りないから、コメンテーターが言ってることの真偽がわからないのは事実だし、ましてMCはもっと当たり障りのない人が求められてる。だからショーンKはフジテレビの番組でMCをやる予定だったけど、そういう意味では彼は適任だったといえるよね。イケメンだし、声も抜群にいいし」
結局、そこで今回問われているのは?と、TVのあり方について、ふたりが至った見解は…。
●このコラムの全文は発売中の週刊プレイボーイ16号(4月4日発売)に掲載。是非そちらもお読みください!
(イラスト/西アズナブル)