ドンキの“200円弁当”こと、鮭のっけのり弁当と唐揚げ弁当。安いわりに手作り&できたてで提供されるコスパの高さが大人気 ドンキの“200円弁当”こと、鮭のっけのり弁当と唐揚げ弁当。安いわりに手作り&できたてで提供されるコスパの高さが大人気

大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が販売する“200円弁当”が話題だ。

その商品は『鮭のっけのり弁当』と『唐揚げ弁当』の2品。現在のところ、東京・港区にある「プラチナ ドン・キホーテ白金台店」限定で販売されている。

『鮭のっけのり弁当』は焼き鮭、ちくわの磯辺揚げ、きんぴらゴボウ、漬物がたっぷりのご飯の上に盛り付けられている。同じく、『唐揚げ弁当』もご飯、唐揚げ6個、スパゲティ、漬物と盛りだくさんの内容。これで税抜き価格200円というのは安すぎる!と反響を呼んでいるのだ。

都内の別の弁当店の店主もこう驚く。

「一体、どうやってこの値付けを実現できたのか…。我々のような専門店で扱う弁当の場合、製造原価はだいたい4割程度なんです。この数字を踏まえると、売価200円ってことは材料費を80円程度に抑えなきゃいけない…。ありえませんよ。

弁当の材料費はご飯が40円、海苔10円、スパゲティが20円、漬物10円…メインの食材抜きに80円に達してしまいますから。200円なんて我々からすると“不可能な値づけ”。廃棄食材を横流ししてもらってるんじゃ…と疑ってしまうほどです」

そう専門店も唸る(疑う?)ドンキの“200円弁当”。その安さの理由とは?

そこで白金台店の惣菜コーナーに行ってみると、目当ての品がやはり大人気。チキンカツ弁当(税別348円)やロースカツ丼(同298円)など他の品も安かったが、200円弁当の2品は減りが早く、売り切れ間近の状況だった。

「鮭弁のほうはこの時間帯で残っているのが奇跡ですね。売り場に並べると1時間程度で完売してしまう日が多いですから」(同店・惣菜担当の店員)

具材が多いためか、同じ200円でも鮭弁がより人気が高いのだとか。…と、その時、販促用に設置してあるTVモニターに揚げ物を調理している映像に合わせてこんな音声が流れ出した。

『プラチナドンキホーテの惣菜は、スタッフが真心こめて、ひとつひとつ丁寧に“店内の厨房で手作り”しています。できたての味わいを皆さんにお届けしたい』

ん? 店内の厨房で手作り!? ドンキに厨房があるとは初耳だが、本当だろうか? 前出の惣菜担当の店員がこう話す。

「厨房を備えた店は数が少なく、都内でいえばうちと後楽園店(文京区)くらい。この店には2階に厨房があり、惣菜担当の店員が弁当や惣菜の調理を行なっています。もちろん、“200円弁当”も厨房で調理したできたてのものを提供しています」

調理は手作り、衛生管理にも気配り…

確かに、売り場に並ぶ鮭弁を手に持つと、ほんのり温かい。

「調理後、1時間以内には店頭に並べるようにしています。数量は大体決まっていて、鮭弁の場合は毎日、午前中に50個、夕方に20個程度。毎日、その日に出す分しか作らず、基本、廃棄は出さないようにしています」(前出・店員)

調理といいつつ、電子レンジで出来合いの品を温めているだけか?と思いきや、調理方法は意外にも本格的なものだった。そこで、ドンキの別の関係者にも詳しく話を聞いてみると…。

「鮭弁当の場合、提携工場から仕入れたチリ産の冷凍鮭をドリップ(旨み成分)が抜けないようにひと晩、冷蔵庫でじっくり解凍。翌朝に出勤した惣菜担当店員が厨房内に設置された専用オーブンで焼き上げ、炊きたてのご飯の上に盛りつけます。素材本来の味を生かすため、塩などの味つけもしてません。

ちくわの磯辺揚げは天ぷら粉と青のりをつけたちくわを専用のフライヤーで揚げて鮭の隣に盛り付けます。唐揚げ弁当の唐揚げも同じフライヤーで揚げ、1時間以内に売り場に並べるんです」

さらに、厨房の衛生管理も徹底されているという。

「入れるのは惣菜担当の店員だけ。それ以外の店員は原則、立ち入り禁止です。洗浄とアルコール消毒を徹底し、専用の制服を着用。靴まで必ず作業後にブラシで洗うように徹底されています」

どうやら値段だけではなく、衛生管理が徹底された店内の厨房でしっかりと手作りで調理されていた200円弁当。そんなこだわりの弁当を、なぜそんなに安く提供できるのだろうか?

なんと原価率は驚きの9割!で実現

「ドンキには子会社にスーパーの『長崎屋』があり、弁当の食材も一括購入しているので仕入れ値を抑えることができます。それでも、200円弁当の原価は鮭弁当で180円、唐揚げ弁当で160円程度。売ってもほとんど利益は出ません。

それでもこの価格にこだわるのは、ドンキの弁当や惣菜は手作りで美味しいんだよ、ということを知ってもらい、温もりのあるできたての弁当を食べてほしいから」(前出・関係者)

なんと原価率は驚きの9割!で実現させているというワケだ。現在、“200円弁当”は白金台店限定での販売だが、今後、他の店で売り出す予定はあるのだろうか。ドン・キホーテ本部の広報担当がこう話す。

「弊社の場合、地域の実情に合わせて店作りを行なっていますから、今後、全店で一斉販売するような計画はありませんが、各店が独自の取り組みとして同じような商品を売り出す可能性はゼロではありません」

お客さんへの思いが詰まった“200円弁当”。食べたい人は、とりあえず『プラチナ ドン・キホーテ白金台店』へ!

(取材・文/週プレNEWS編集部)