普段の食生活で不可欠な存在になっているレトルト食品。パッケージの裏面にある原材料表示の見方を知れば、選ぶ商品も変わってくる? 普段の食生活で不可欠な存在になっているレトルト食品。パッケージの裏面にある原材料表示の見方を知れば、選ぶ商品も変わってくる?

保存料 、増粘剤、加工デンプン、パプリカ色素…。おにぎりや弁当、冷凍・レトルト食品など加工食品のパッケージにある原材料表示には様々な食品添加物が列挙されている。

加工デンプンって何? それぞれの添加物の作用は? 製造メーカーは…?

原材料表示からその答えを知ることはできず、添加物はどこか得体が知れない存在となっている。そのためだろうか…? ネットで調べてみると、

「添加物は危険」「発がん性の懸念がある」「食べてはいけない」

などと危険性を指摘する情報が飛び交い、同様の著書も書店をにぎわしている現状がある。食品問題評論家の垣田達哉氏がこう話す。

「国が使用を認めている食品添加物は指定添加物と既存添加物を合わせると約820種。その作用は、食品の品質を保つ、栄養分を補てんする、味・食感をよくする、食品を成型するなど様々。いずれも動物実験などを踏まえて、国が安全な摂取量を定めています。

『動物が一生、毎日食べても有害な影響が見られない最大摂取量(体重1kg当たり)を定め、その100分の1の量を人が一生食べ続けても安全な量』とし、これを超えない範囲で使用基準としています」

だからといって、添加物に健康リスクがないというわけではない。最新の研究によって危険性が明らかになり、製造・販売が禁止された添加物もあるのだ。

「2004年、厚労省はそれまで“安全”としていたアカネ色素に『ラットの発がん性試験で腎臓に発がん性が認められた』として製造を禁止しました。アカネ色素は植物の根から抽出される天然着色料。『天然だから安全性が高い』『子供にも安心』と信じられていたので、ハム・ソーセージやかまぼこなどの水産加工品、菓子、清涼飲料水など幅広い加工食品に使われていました」(垣田氏)

また、国による製造禁止などの措置が取られたわけではないが、昨年、主婦層を中心に危険視する風潮が急速に強まった添加物がある。「トランス脂肪酸」だ。

トランス脂肪酸はマーガリンやショートニング、それを原料として製造されるケーキやドーナツ、菓子パン類などに含まれている脂肪酸の一種。過剰に摂取すると悪玉コレステロール値を高めたり、動脈硬化や心筋梗塞を引き起こす危険性が増すと報告されており、アメリカでは昨年、『食用として一般的に安全とは認められない』として2018年6月までに食品への添加を原則禁止にするとFDA(米食品医薬局)が発表しました。

日本ではトランス脂肪酸の摂取量が少ないことから規制されることにはなりませんでしたが、このニュースが国内を駆けめぐり、主婦層を中心にマーガリンからトランス脂肪酸の含有量が少ないバターに切り替える動きが急加速しました。こうした消費者の“マーガリン離れ”が、昨年話題になった“バター不足”を引き起こす一因にもなったのです」

“添加物=危険”の風評はこうして広まる

“アメリカがくしゃみをすれば(ある添加物の危険性が指摘されれば)、日本が風邪をひく(日本でも忌避されるようになる)”。これは、「添加物業界でも典型パターンになっている」(垣田氏)のだという。

「トランス脂肪酸に続き、今、アメリカで危険性が指摘されているのが人工甘味料のアスパルテームやスクラロース。砂糖の約600倍の甘味度があり、清涼飲料水やお菓子、ガムなどに多く含まれていますが、過剰に摂取すると糖尿病や肥満のリスクを高めるとして問題視され、それを含む商品を買い控える動きが加速しています。同じ現象はすでに日本でも起き始めていますね」

危険性が指摘された“疑惑の添加物”に最も敏感なのは、やはり女性だ。

「特に妊婦や子育て中の女性は『危ないものを子供に食べさせられない』とネットや本で情報収集し、体に有害といわれている添加物については“ママ友”の間で話題となり、拡散していく。そんな影響を受けた夫もママに負けじと情報収集する。こうして添加物を危険視する風潮は急速に広まっていく流れがあります」

だが、その情報源は信憑性が薄いものも少なくない。

「ネットの場合は個人ブログが多く、本の場合は添加物メーカーや食品メーカーの元社員による“告発本”のようなものが多いですね。その中には、使っているデータが古かったり、安全性を証明する実験結果には一切触れず、危険性を指摘する一部の研究者の実験結果ばかりを並べていたり…と、過度に危険を煽(あお)る内容のものも少なくありません」

こうした偏った情報が添加物を危険視する風潮を作っていく。なぜ、そうなってしまうのだろうか? 垣田氏がこう話す。

「添加物についてマスコミが取り上げる機会が少なく、情報が不足しているためです。そもそも、添加物は消費者のイメージがよくありませんから、例えばTVの情報番組などで『安全だ』と取り上げたところで誰も信用しないんですね。

逆に、国が安全性を認めている添加物について一部の研究者の実験結果を持ち出し、『実は発がん性がありました』なんて報道すると、加工食品メーカーやそれを取り扱う大手小売業者から広告やCMを出してもらえなくなる…。だからマスコミは添加物のことをあまり取り上げないのです」

添加物はなぜTVで取り上げられないのか?

垣田氏によれば、誰かが「これは危険だ!」と指摘すれば、多くの場合、メーカー側が自社調べのデータをもって『有害性はない』と反論するのが添加物業界なのだという。両極端な情報が飛び交う中、中立の立場にあるはずの国が安全と認めた添加物についても、先述したアカネ色素の例もあり、「100%の安全はありない」というのが垣田氏の見解だ。

だが、加工食品に依存した食生活を続ける以上、添加物とは無縁ではいられない。正しい情報が少ない中で、添加物とどう向き合えばいいのだろうか。

「健康リスクがあって体にいいことはありませんので、まずは『この食品は絶対大丈夫』と無防備になりすぎないこと。その上で体への影響が心配な人は、特定のメーカーや加工食品を偏って食べないほうがいい。できるだけ添加物が少ない商品を選ぶように心がけることも大切だと思います」(垣田氏)

そこで欠かせないのが各商品のパッケージの裏面にある原材料表示の正しい見方。例えば、あるレトルトカレーの商品にはこう記してある。

名称:カレー ●原材料名:野菜、小麦粉、牛肉、食用油脂、砂糖、ブイヨン、カレー粉、食塩、カレーペースト、香辛料、酵母エキス、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工でんぷん)、カラメル色素、調味料、パプリカ色素、りんご抽出物、香料

「原材料表示の中には、原材料(食品)⇒添加物の流れで、それぞれ重量が多い順に記載されています。それ自身をそのまま、あるいは調理することで食べられるものが『原材料(食品)』で、それ自体を食べることはないが、食品に色や香りや味をつけたり、品質を保ったりする目的で意図的に使われるのが『添加物』です」(垣田氏)

しかし、この表示ではどこまでが「原材料(食品)」でどこからが「添加物」なのか、消費者は判別しにくいような…。その境目は?

「これはひとつの目安ですが、『調味料(アミノ酸等)』、あるいは『乳化剤』の文字があったら、それ以降は添加物と考えていい。そのふたつは添加物の中でも重量が大きいので表示の頭にくるケースが多いのです」(垣田氏)

この商品の場合、計7種の添加物が入っているということになる。

「レトルトカレーの中では多いほうですね。S&Bの子供向けカレー『カレーの王子さま』や『無印良品』のレトルトカレーのように添加物不使用の商品もあります。あくまで一般論ですが、低価格の商品ほど添加物の数は多い。安価な食材(原材料)を使えば使うほど、味付けや食材の成型、着色、香り付けなどを人工的に行なう必要があるためです」

使用頻度の高いカラメル色素は発がん性物質?

では、添加物の内容はどうか。垣田氏が着目したのが「カラメル色素」である。

「カラメル色素とは黒系や茶系を出すための着色料で、レトルトカレーには必ずといっていいほど含まれていますね。カレーの色はカラメル色素によるものです。同じレトルト食品では『牛丼のもと』、飲料ではコーラに添加されていることでも知られています。

カレーだけでなく、卵の黄身も典型ですが、ここ数年、日本では薄い色より濃い色の料理が好まれる傾向が強まっています。カラメル色素はずっと昔から日本に流通していますが、この“濃い色ブーム”の中で、より重宝されるようになっているのが現状です」

一般的に使われている添加物のようだが、不安視する声が一部で上がっているのもまた事実だ。

「カラメル色素は工業的に製造され、製法の違いで、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4種類あり、その中のアンモニア化合物を加えて作るⅢとⅣに発がん性物質の『4-メチルイミダゾール』が含まれていると一部で問題視されています。

ここで問題なのが、メーカーがどの種類のカラメル色素を使用しても、パッケージの原材料表示には『カラメル色素』としか表示されず、ⅢとⅣのカラメル色素が使われているかどうかを知ることができない点。ただ、日本ではⅢとⅣが主流になっているとも言われています」

加工食品に依存した食生活を送っている人は、スーパーやコンビニの売り場で商品の裏面を見るクセをつけた方が良さそうだ。

(取材・文/週プレNews編集部)