開催を危ぶむ声まで上がっている東京五輪。だが、ここにきてJOCや五輪組織委員会の有志が再生プランを水面下で進行中との情報をキャッチ 開催を危ぶむ声まで上がっている東京五輪。だが、ここにきてJOCや五輪組織委員会の有志が再生プランを水面下で進行中との情報をキャッチ

収賄疑惑のゴタゴタに、舛添要一都知事の辞任が重なり、開催を危ぶむ声まで上がっている東京五輪ーー。

だが、ここにきてJOC(日本オリンピック委員会)や五輪組織委員会の有志が、名誉挽回に向けた再生プランを水面下で進行中との情報をキャッチした。

その中には東京開催を牽引してきた“大物政治家”を含む幹部たちに三くだり半を突きつけるプランまで含まれているという!

東京五輪が開催返上の危機にあると伝えたのは本誌23号でのこと。JOCと東京五輪招致委員会がコンサル会社に2億2千万円を支払い、五輪開催を「黒いカネ」で買ったとの疑惑が浮上したためだ。

ところが、ここにきて風向きが変わったようだ。疑惑解明に執念を燃やすフランス検察の捜査は続くものの、日仏政府間でなんらかの交渉があったようなのだ。フランス『ユマニテ』紙記者がこうささやく。

「東京五輪はインフラ整備など、事実上スタートしている。さすがにここで中止は難しいというのがIOC(国際オリンピック委員会)や仏政府の見解です。そのため、IOCは大会返上の要求を引っ込め、代わりにJOC幹部の引責を突きつけてくることになるとみています」

外務省職員もうなずく。

「官邸からJOCに『スキャンダル払拭(ふっしょく)のため、断固とした善後策を講じよ』との要請があったと聞いています。フランス検察はリオ五輪直前にもJOC摘発を行なうと表明している。だから、リオ五輪が始まる8月5日までになんらかの形で自浄意志を示す必要があるでしょうね」

自浄意志って? JOC関係者がこう決意を語る。

「今が正念場ということは、理解しています。IOCに内部のクリーン化をアピールするためには、最低でも東京五輪の2トップ、組織委員会会長の森喜朗元首相とJOCの竹田恆和会長のクビのすげ替えをやらなくてはいけない。そう覚悟しています」

2トップのクビのすげ替えなんて、本当に可能なのか?

「これほどの大スキャンダルを起こした以上、今世紀中に日本で国際的な競技会はできない。五輪開催も2020年が最後となるでしょう。だったら、その東京五輪を世界に恥じない、名大会として成功させよう。そうでもしなければ浮かばれないというのが、スポーツ振興に関わってきた者たちの思いです。その第一歩が2トップの交代。ここで退くわけにはいきません」(JOC関係者)

国際感覚のオンチぶりも不評のタネ

元々、森、竹田の両氏には外交や危機管理の能力を疑問視する声が絶えなかった。例えば、新国立競技場のデザインコンペにあたり、「たった2500億円も出せないのか?」と不満を吐いた森元首相。JOC内部ではこんな批判が噴出していた。

「新国立競技場の建設問題で、森さんは『予算を度外視してもよいモノを』と強気一辺倒だった。結果、五輪予算がドンブリ勘定になってしまったんです。ここは潔(いさぎよ)く身を引くべき」(五輪組織委員会顧問)

国際感覚のオンチぶりも不評のタネだ。自民党関係者がこうこぼす。

「ドーピング違反を理由にIOCは6月下旬、ロシア陸連にリオ五輪出場の資格停止処分を下した。この一件の中心人物は日本の五輪招致疑惑にも関わったラミン・ディアク元IOC委員。つまり、ロシアへの厳しい裁定は日本の五輪収賄疑惑に対しても容赦しないというIOCのアピールと考えるべき。

なのに、森元首相は周囲に『収賄はない。今のままで大丈夫』と吹聴する始末。国際感覚のズレはどうしようもありませんね」

皇族に連なる家系出身の竹田会長の評判も芳(かんば)しくない。

「人事も実務も下々へ丸投げという殿様政治。外交能力も乏しく、今回の疑惑に関する釈明でも海外マスコミへの目配りはできずじまい。フランス検察がJOCに疑惑の目を向けている状況を把握するのに精いっぱいで、第三者調査を行なうなど、最低限の善後策すら示せませんでした」(前出・JOC関係者)

これでは2トップが身内から三くだり半を突きつけられても仕方がない。ならば、気になるのは後任人事だ。

しかしそれも、舛添都知事の辞任により、行方がわからなくなってきている。五輪利権に批判的な候補が当選すれば、JOCが主導する後任人事が難しくなり、官邸とつながった人物が当選すれば、政府の意向が反映されやすくなってしまう。

それでもJOCの有志たちは、2トップの交替を「日本スポーツ界のプライドにかけてやり遂げる」と断言するが…。

そこで、発売中の『週刊プレイボーイ』28号では、東京五輪の名誉挽回を左右する「2トップの後任候補」を検証。都庁の幹部たちが望む、「次の都知事」になってほしい人物の名前と合わせて掲載しているので、是非お読みいただきたい。

■『週刊プレイボーイ』28号(6月27日発売)「これが東京五輪『クリーン化作戦』の全貌だ!」より