よく、151杯も飲み干したものだ。
焼き鳥チェーン店「鳥貴族」が、手の消毒などに使うアルコール製剤で作ったチューハイ、“消毒ハイ”を販売していたことが発覚した。鳥貴族が説明する。
「当社の直営店である『鳥貴族南柏店』で、食品添加物アルコール製剤をチューハイに用いる焼酎と誤って提供してしまいました。期間は7月19日から23日までの5日間、販売杯数は151杯です」
チューハイが“消毒ハイ”に化けてしまった理由は、焼酎の容器をセットするドリンクサーバーに誤って食品添加物アルコール製剤の容器を接続してしまったためだという。
「焼酎、アルコール製剤とも形状の似ている容器に入っているだけでなく、注ぎ口の口径もほぼ同一だったため、間違ってしまいました。誤接続に気づいたのは、お客さまから『泡立ちが多い』『味が違う』などの苦情をいただいたことがきっかけです。対象商品分の代金は返金いたします。多大なご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」
ところで“消毒ハイ”を飲んでしまったお客さんは大丈夫だったのか? 薬剤師で生活情報サイト『オールアバウト』ガイドの久保田嘉郎(よしろう)氏が語る。
「誤提供されたアルコール製剤は、サトウキビなどから作られたもので、食品添加物としても使用されるものです。飲んだとしても大きな問題はないでしょう」
だが、フードジャーナリストのはんつ遠藤氏は提供者の責任は重い、とクギをさす。「今回のケースはアルコール製剤が人体に無害だったからよかったものの、もし有害なものだったら、大きな事故につながっていたはずです」
そのとおりだ。鳥貴族には猛省を促したい。
“消毒ハイ”の味を試し飲みしてみた!?
一方で、飲んでいたお客さんは「味が違う」くらいで、何か異変には気がつかなかったのか? ひょっとして、けっこう飲める味だったりして? ということで“消毒ハイ”を再現して、その味を試してみた。
食品添加物アルコール製剤のアルコール度数は70~80度もある。容器を開けて顔を近づけると、むせ返るようなアルコール臭が鼻をつく。
ここにまずは炭酸水を入れてみた。やはり、アルコール臭があり、とても飲めたものではない。ところが甘味のあるレモン炭酸飲料で割ってみるとアルコール臭がさほどしない。これなら濃いめのチューハイで通用するかも。さらに酔客なら逆に「焼酎を多めに入れてくれた」と喜ぶ人がいたかもしれない。恐るべし、“消毒ハイ”!
ちなみに、食品添加物アルコール製剤は「飲用不可」なので、皆さんは絶対にマネして作って飲んだりしないでください!
(取材・文/本誌ニュース班)