JOC(日本オリンピック委員会)は2020年東京五輪の開催権を「黒いカネ」で買ったのではないか――。そんな疑惑を検証したJOC調査チームの報告書が公表されたのは9月1日のことだった。
その結論はシロ。日本がコンサルタント会社に支払ったとされる約2億3千万円は「違法性のない支出」と認定され、日本の法律やIOC(国際オリンピック委員会)の倫理規定には抵触しないと結論づけられたのだ。
だが、その検証に国際社会から厳しいまなざしが注がれている。欧州メディアやIOC関係者からだ。JOCの疑惑を最初に報道した英・ガーディアン紙の記者が言う。
「まったく噴飯モノの調査報告です。JOCの調査チームはコンサル会社に支払った巨額の費用を正当な支出としていますが、コンサル会社の代表やその仲介をした元IOC委員など、疑惑の渦中にいる人物にはアプローチせず、聞き取り調査すらしていない。それで『支払いは正当』と結論づけられても、納得できるはずがありません」
調査時期を問題視し、「やっつけ仕事」と酷評するのはIOC監査セクションの職員だ。
「調査チームの座長を務めた早川吉尚弁護士らは30人以上に聞き取りをしたと胸を張っていますが、その時期は今年6月下旬から8月初旬で、IOCや各国の五輪関係者は慌ただしく海外出張をしていた。聞き取りにじっくり応じる時間はなかったはず。これでは『調査はやっつけ仕事』と思われても仕方ない」
元フランス検察局の監査官もこれに同意する。
「JOCの調査チームが主張しているのは、要するに『調べた範囲において、JOCはシロだった』ということ。これは『独力の調査は難しかった』と、サジを投げてしまった事実を告白しているようなもの。調査の信頼性を疑われるのは当然でしょう」
しかも、調査の内容について疑われているだけでなく、JOCの「日本はシロ」宣言は、疑惑を告発したフランス検察の逆鱗に触れてしまった。調査が不十分な報告書の穴を突き、自らの捜査が正しいことを立証すべく、彼らは日本の関係者逮捕に向けて動き出しているというのだ。
果たして、フランス検察が逮捕を狙う日本人とは誰か? 発売中の『週刊プレイボーイ』39・40合併号では、東京五輪裏金問題の最新の捜査状況についてレポートしているので、是非お読みいただきたい。
■『週刊プレイボーイ』39・40合併号「東京五輪裏金問題、フランス検察が狙う日本人」より