通販の拡大や人手不足などでドライバーの負担は増すばかり… 通販の拡大や人手不足などでドライバーの負担は増すばかり…

ネット通販の急激な拡大や人手不足などでドライバーの負担は増すばかり。しかも単価が安すぎて利益にもつながっていない。渦中のヤマト運輸ほか宅配便大手の現役ドライバーが、便利さを追い求める陰でパンク寸前になっている現場の実情を明かす。

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宅配便最大手のヤマト運輸が、今秋にも個人向けの宅配便の基本料金を値上げする方針を固めた。消費増税時を除けば、実に27年ぶりだ。また、アマゾンなど大口顧客ともすでに値上げ交渉に入っていることを明らかにした。

背景にあるのは、荷物の急増だ。国土交通省のデータによると2015年度の宅配便全体の取り扱い個数は約37億4493万個。これは10年前と比べて約8億個も多い。ネット通販の拡大がその主な理由で、16年度はさらなる増加も見込まれているという。

それにもかかわらず、ネット通販は単価が安いため、取り扱い個数が増えるほど採算は悪化。細かい時間帯配送や再配達などのサービス競争も重なり、ヤマトに限らず、宅配各社とも“儲からない繁忙”に陥(おちい)っている。

そして、そのしわ寄せは現場にいく。新たに人材が補充されるわけでもなく、多くのドライバー(配送員)が昼食休憩も取れないほど忙しい状態での長時間労働を強いられているというのだ。

まず、荷物の増加について、ヤマトのドライバーAさん(40代・正社員)はこう話す。

「ウチが13年に佐川急便さんからアマゾンの取り扱いを引き継いで以降、体感で3割は増えたなという感じですね。さらに言えば、アマゾンにはミネラルウオーターや米など重たい生活用品を注文する方が多い(苦笑)。20kg、30kgもあるミネラルウオーターなどは箱も大きくて宅配ボックスに収まらないんですよ。重い荷物の再配達は心が折れます」

サービス競争も忙しさに拍車をかけている。

「朝、配達に持っていった荷物のうち再配達になるのが3割程度。それらを夕方以降に再配達するんですけど、夕方にはアマゾンの『お急ぎ便』が集配センターに到着します。つまり、通常の時間指定の荷物と、再配達の荷物、さらにアマゾンのお急ぎ便による荷物、そのすべてを夕方以降、営業時間内の21時までにさばかなければならない。あの時間帯はキツイ」(Aさん)

(取材・文/牛嶋 健[A4studio] 取材協力/樫田秀樹)

◆3月18日発売『週刊プレイボーイ』14号「『荷物も再配達も多すぎ!!(泣)』の現場」では、このほかにもドライバーたちのリアルな声を紹介。ぜひお読みください。