「混んでいて遅い」。利用者が長らく抱えてきた不満が、ついに解消!?
11月1日、小田急線を運営する大手私鉄の小田急電鉄が発表した新ダイヤが注目を集めている。来年3月に完成予定の複々線(上下線2本ずつ計4本の線路)をフル活用することで、ラッシュ時の混雑緩和と所要時間の大幅短縮を実現させるというのだ。
これまでの負のイメージを払拭(ふっしょく)できるのか? 小田急の狙いと、ライバル路線との利用客争奪戦に注目!
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小田急線といえば、ラッシュ時の「混雑」と「遅さ」が代名詞のようになっている。
国交省が公表している2016年度のデータを見てみると、混雑率は全国ワーストの3位。
しかし、これも来年3月から運行開始の新ダイヤで劇的に改善される。小田急によれば混雑率は150%程度まで緩和され、「新聞や雑誌を楽な姿勢で読める」という。
それを支えるのが、構想半世紀、着工から約30年という月日をかけて、ついに完成のメドをつけた複々線の存在だ(代々木上原駅から和泉多摩川までの全長11・1kmの区間)。
沿線住民も「生きている間に完成するなんて思っていなかった。今から来年が待ち遠しい」(町田市在住の会社員Aさん)と待ちくたびれた夢の複々線完成。ラッシュ時の列車本数は27本から36本に拡充されるなど、利便性は確実にアップ! 激混み通勤ともこれでオサラバだ!!
また、複々線化による所要時間の短縮も目を見張るものがある。今回、新ダイヤで優遇される駅と選ばれた背景を、鉄道ジャーナリスト・梅原淳氏が解説する。
「まず、なんといってもJR南武線との乗り換え駅の登戸です。小田急線では特急を除いて停車駅が最も少ない『快速急行』が新たに停車することになりました。新宿への所要時間もラッシュ時で18分と最大9分短縮されます。
小田急線は混雑が激しかったこともあって、これまで南武線の乗り換え客を取り込むことは困難でした。しかし、快速急行と複々線で輸送力がドンと増えるため、逆に今後はどんどん取り込む必要がある。今まで小田急の混雑や遅さを嫌って、並行する東急田園都市線や京王線を使って都心に向かっていた南武線沿線の住民にアピールするのが狙いでしょう」
普段、南武線の久地(くじ)駅から田園都市線に乗り換えて渋谷に向かう飲食店オーナーのBさんは、「下北沢までひと駅で行ける快速急行は魅力」と、小田急線の利用に前向きだ。
★同じく利便性がグンと良くなり、小田急のしたたかな戦略が垣間見える駅は? 一方で冷遇される駅も…!? 『週刊プレイボーイ』48号(11月13日発売)にて、お読みいただけます!
(写真/時事通信社)