気づけば日本社会のあちこちに忖度が!

12月1日に決定する「新語・流行語 大賞」の候補30語が今月9日、発表された。巷でよく使われたものという観点で言えば「忖度」が有力か。

この言葉がクローズアップされるきっかけとなった、森友学園問題で責任を問われた安倍昭恵夫人…。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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流行語というよりも、今年よく聞いた言葉大賞となりつつある新語・流行語大賞。今年の候補も、いわゆる流行語とは言い難いものが多い気がします。そんななかでも、自分も使ってみたという人が多そうなのは「忖度(そんたく)」でしょうか。そんたく、なんて聞いたことなかったという人もいるでしょう。しかし気づけば日本社会のあちこちに忖度が! 「そこは忖度してよー」などの使用例も耳にしますが、微妙に用法が間違っていることが多いので、使うなら辞書を引いてからにしましょう。

あと、よく聞いたのは「人生100年時代」。当然80歳まで生きられると思っている人の多さに日頃から違和感を覚えている私としては、100年生きるつもりの人にはドン引きです。120歳まで生きると豪語する人にも出会いました。一方で長寿リスクという言葉もあるので、人生計画は慎重に。

「フェイクニュース」も使いたくなる語感です。先日も合コンかなんかで「あ、それフェイクニュース、フェイクニュース!」と盛り上がる一団を見ました。都合の悪い情報をデマ呼ばわりするトランプ大統領的用法は、日本の政治家にも浸透しそうです。

小島のひとり言日本から8000km離れた豪州で暮らす息子たちが、遅ればせながら「ほぼほぼ」を使いだしました。先日、長男が「ほぼほぼ」発言をしたので、「ほぼ」という日本語に直しておきました。

小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動する、日豪往復生活。近著に『ホライズン』(文藝春秋)、『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)など。