【図】北大西洋での熱塩循環流が強くなると、北に温かい海水が上がっていき、北半球をぐるりと回る偏西風の蛇行を強める。そうすると北半球の気温にも影響を及ぼす(2013年のJAMSTECプレスリリースより作成)

この冬、日本列島を最強寒波が襲っている。この週末にも北海道・東北や北陸地方では大雪や猛吹雪が続き、東京都心では23cmの積雪(1月22日)に48年ぶりという氷点下4℃(25日)を記録した。

この異常気象は日本だけじゃない。1月3日には温暖なフロリダ州で降雪があり、1月5日にはカナダとの国境にあるナイアガラの滝が完全に凍結。まるで『アナと雪の女王』の世界だった。そして、驚くことに1月7日にはアフリカ北部のサハラ砂漠に雪が降ったのだ。

地球は温暖化しているといわれて久しいが、本当にそうなのか?

「地球温暖化はあくまでも仮説であって、検証されていないんです。僕は地球は今、寒冷化に向かっていると思います」

そう語るのはNASAや米マサチューセッツ工科大学での研究経験を持つ、元海洋研究開発機構主任研究員で大気海洋物理学者の中村元隆氏だ。

「地球の気候変動は、二酸化炭素などの大気成分とは関係なく、気流や海流などでも起こります。特に『全球規模熱塩循環流』が地球の気候に与える影響は大きい」

全球規模熱塩循環流とは、熱帯・亜熱帯地域から流れてきた温かい海水が、グリーンランド海やラブラドル海周辺で冷やされ海底に沈み、南下して徐々に湧き上がりながら世界中の海を流れ、最終的に北大西洋に戻ってくる循環流だ(図参照)。

「このうちの大西洋を循環する流れを『大西洋熱塩循環流』と呼びます。そして、この循環が運んでくる熱量の強弱によって、北半球の温暖化や寒冷化が起こるのです」

中村氏は、この大西洋熱塩循環流を研究し、グリーンランド海の水面温度が高いときは温暖化し、低いときは寒冷化することを発見した。

これが『大西洋数十年規模振動』と呼ばれるもので、30~40年おきに温暖化と寒冷化を繰り返している。

「実際、北半球は1940年から70年代は寒冷化していました。そして80年代からは温暖化しています。この周期から考えると、2015年前後から次の寒冷化が始まると予想され、実際に2013年終盤にグリーンランド海の水面温度が低くなる現象が起きています。そして、この寒冷期の寒さのピークは2050年前後になるでしょう」

地球温暖化が強く叫ばれ始めたのは80年代に入ってからで、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立されたのは1988年だ。しかし今、地球は温暖化から寒冷化に転じようとしているのだ。

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(取材・文/村上隆保)