今月12日。アメリカの大手銃器メーカー、レミントン・アウトドア社(以下、レミントン)が、日本における民事再生法である米連邦破産法11条を申請中と発表。2015年には日本ではガバメントと呼ばれる拳銃でおなじみのコルト・ディフェンス社(以下、コルト)も破産。
一方、14日にはフロリダの高校で銃乱射事件も発生し、そろそろアメリカの銃器産業がヤバイ雰囲気なのでは?
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破産申請中のレミントンとは、どんなメーカーなのか? 『拳銃王』『拳銃将軍』(共に光人社NF文庫)の著書があり実銃100種類以上、発射弾薬10万発超えという作家の小峯隆生さんに聞いてみた。
小峯 創業は1816年。ライフル、ショットガンを中心に製造し、日本では『西部警察』の大門団長が撃っていたショットガンでおなじみです。アメリカでは西部開拓時代から愛され続ける超老舗の銃器メーカーになります。
―現在のアメリカ軍でのレミントンの活用は?
小峯 陸軍の狙撃銃としてM24、海兵隊にはM40があります。しかし、狙撃銃やショットガンは欧州メーカー製に更新されつつあります。
―なんで代えちゃうんですか? 元米陸軍大尉の飯柴智亮さん、解説をお願いします。
飯柴 単純に欧州製の製品のほうが、レミントンよりも優れているからです。レミントンならM700、コルトならガバメントという定番商品があり、どちらも大ベストセラーです。両メーカーとも、この商品だけで商売が成り立ってました。しかし、これこそが最大の問題だったのです。
―全然問題ないじゃないですか! スペックも実戦で証明済みですし!!
飯柴 「とりあえず商品は売れる」という状況に、レミントンもコルトもあぐらをかいてしまいました。新技術をアピールして各国の軍隊に銃器を売り込む欧州メーカーに対し競争力がないどころか、100年以上前の技術でしか物づくりができないメーカーになってしまったのです。
―1世紀以上前の技術って、日本だったら任天堂がいまだに花札オンリーで商いやってるようなもんじゃないですか! では、小峯さん、欧州メーカーはどのような新技術を持っているのですか?
小峯 例えばアメリカ軍が1999年に制式採用したショットガン、M1014。これはイタリアのベネリ社が製造し、トリガーを引くだけで、最大8連射できます。私も500発以上撃ったことがありますが、まったく弾詰まりを起こさないほど作動は確実。さらに“カシャ、コーン”と左手で行なう次弾の装填アクションがないので、射撃姿勢がブレることなく命中精度も良いのです。正直、レミントン製より高性能です。
―狙撃銃もアメリカ製でなく、欧州製なんですよね?
小峯 M24の後継のM110はアメリカメーカーのナイツアーマメント社製です。
―アメリカ製、まだまだイケるじゃないですか!
小峯 しかし、耐久性の低さや各所に問題があり、その代替であるM110Aに更新中です。こちらはドイツメーカーのH&K社製になります。狙撃銃どころか、小銃もコルトが開発したM4カービンの問題点をH&Kが改修し、HK416となって採用されているほどなのです。
―アメリカ製銃器は、オールポンコツかよ!
★欧州メーカーが台頭する中、日本が銃器産業に本格参入する裏技が!? 記事の全文は『週刊プレイボーイ』11号(2月26日発売)「アメリカ銃器産業の大改編問題」にてお読みいただけます!
(取材・文/直井裕太)