ニホンカワウソの目撃情報を募る、立て看板

昨年8月、「絶滅したはずのニホンカワウソを対馬で発見!?」というニュースが日本中に驚きを与えた。

あれから8ヵ月、今度は栃木県那須町にもニホンカワウソがいるかもしれないってよ!

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1979年の高知県須崎市の新荘川を最後に目撃情報が途絶え、2012年には環境省から「絶滅種」として認定されたニホンカワウソ。

しかし、昨年8月に長崎県対馬市でカワウソ発見のニュースが流れると「ニホンカワウソの生き残りかも」と注目を集め、本誌の探求魂も燃えた! すぐさま「週プレカワウソ探検隊」を結成して対馬へ急行!

だが、必死の捜索にもかかわらず、ニホンカワウソを見つけられなかった。さらにその後、対馬で発見されたカワウソは日本固有の種ではなく、韓国から流れ着いたユーラシアカワウソの可能性が高いとわかり…。

やはりニホンカワウソはいないのか。そんな諦めムードが漂ったまま迎えた今年4月、驚きのニュースが舞い込んできた。なんと対馬から約1400km離れた栃木県那須町で、ニホンカワウソの目撃情報が多発しているというのだ! 今度こそ、信じていいッスか!? ということで、那須町に突撃ィィ!

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「ブ~~~~ン」

ドローン3機が一斉に飛び立った。

4月14日午後3時、那須町民の有志でつくる「なす魚類調査クラブ」(以下、なすクラ)によって、カワウソ調査が行なわれた。那須副町長で同クラブの会長である山田正美(まさみ)氏と動物園「那須どうぶつ王国」の佐藤哲也園長が指揮する。

調査するエリアは同町の沼野井地区・余笹(よささ)川の河川敷。山田氏によると17年8月から18年4月にかけて、カワウソの目撃情報が特に多かった場所とのこと。

なすクラのスタッフは、目撃情報を募る看板を立てるとともに、カワウソの足跡探し、フンの探索、定点カメラの設置、そしてドローンによる上空からの撮影も行なった。

スゲー本格的だ。これはマジでニホンカワウソを見つけられるかも…と思いたいが、この調査の前に那須町役場で行なわれたメディア向けの“カワウソ学習会”で、佐藤園長はこんなことを言っていた。

「今のところ、目撃されたのはカワウソではなく、アメリカミンクの可能性が高いと思います」

いないとは言い切れません

なんですか、それ?

「北米に自然分布するイタチ科の動物で、80年前に北海道に持ち込まれた4頭が逃げ出した後に野生化。現在、福島で急速に生息分布を広げており、それが隣接地である那須町に流れてきたのではないかと。

そして、実はミンクは“最もカワウソと間違えられやすい動物”なんです。同じイタチ科で見た目が似ているのはもちろん、何よりイタチ科で『川に飛び込んで泳いで魚を捕まえる』のは、カワウソとミンクだけなのが大きい」(佐藤園長、以下同)

見分け方は?

「まず鼻先から尻尾までの体長。アメリカミンクは、70cmから80cm程度ですが、ニホンカワウソは体長1mぐらいにはなる。あとは頭部。ミンクよりもカワウソのほうが頭が大きい」

パッと見で見分けるのは難しそう。ところで、事前に渡された資料には、那須町民の目撃写真が掲載されていた。これはカワウソでは?

「体と頭が小さいですね。まあ、アメリカミンクでしょう」

もはや、カワウソなんていないと言ってもいいのでは…?

「そうとは言い切れません。那須町はとても自然豊か。調査していないので、実際はわかりませんが、カワウソが生きていけるエサ資源があるかもしれない」

◆カワウソは夢とロマン! この続きは『週刊プレイボーイ』19・20合併号「『ニホンカワウソは栃木県那須町にいる!のか』」にてお読みください!

(撮影/下城英悟)