2015年にデビューした、125mm滑腔砲を備える主力戦車「T-14戦車」 。将来は本車の無人運用を計画している

5月9日、対独戦勝73周年を記念して、ロシア各地で軍事パレードが催された。

特に首都モスクワでは、1万3千人以上の兵員と159両の軍事車両、75機の航空機が参加。4度目の大統領に就任したばかりのプーチン氏の前を行進し、ロシア軍の威容を全国民に示した。

パレードには、昨年夏に制式化されたステルス戦闘機Su-57や、3月に公表された空中発射弾道ミサイル、キンジャールのほか、初登場の無人兵器4種と2~4人乗りの機動車両3種の姿もあった。

今年のパレードの傾向について、軍事専門誌『パンツァー』編集部の戸塚謹氏は言う。

「無人砲塔を持つT-14戦車のような最新鋭兵器の一方で、旧来型兵器の改良版や安価に済む無人兵器が多数登場したのも今回の特徴です。テクノロジーによる無人化は、実戦投入時の人的被害を抑えるためにも有効と考えられます」

近未来の戦争の要となる無人兵器の配備が着々と進むロシア。今まさに、有人と無人が融合した新たな軍隊へと形を変えつつあるのだ。

戦車の死角となる近接範囲を制圧する車両。9M120 アターカ対戦車ミサイル連装発射機2基、30mm機関砲2門を装備する 「ターミネーター2 戦車支援戦闘車」

2016年に発表された30mm機関砲を持つ無人戦闘車。今回のパレードで制式兵器として配備されているのが判明した 「ウラン-9 無人戦闘車」

射程2000km、最大速度マッハ10のミサイルとして登場したが、その実態は空中発射弾道ミサイル 「MiG-31戦闘機」(Kh-47M2 キンジャール搭載)

(取材・文/世良光弘 写真提供/ロシア国防省 時事通信社 Vitaly V.Kuzmin)*写真は一部リハーサル時のもの