SNSに被害記録を投稿する若手社員も…

日大アメフト部の危険タックル問題など、悪質なパワハラがはびこりまくっている日本社会。

上からの圧力に屈しないため、最近の若手社員たちが実践している有効な対策法を紹介!

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比較的マイルドな事例。飲料メーカーで働くA君(23歳)はこう語る。

「上司と打ち合わせするときは場所に気をつけています。閉ざされた会議室ではなく、オフィスと仕切られていない会議用スペースを予約するようにしています。というのも、もし怒鳴られても周りの人に気づいてもらいやすいし、上司も冷静になりやすいから。打ち合わせの時間がかぶりやすいチームの同期には事情を説明して、会議用スペースを譲ってもらっています」

大声での叱責や周囲に人がいる状態での説教は、過度の屈辱感があるため、パワハラ認定されやすい。ある意味、上司にとっても有益な気配りだろう。

そんな声がある一方で、「同僚が叱責されていたらその場を離れる」と語るのは不動産会社勤務のB君(26歳)。

「パワハラ対策には同期や信頼できる同僚との連携が大事だけど、個人的には誰かがパワハラされてしまったら、ほかの人間はトイレでもどこでもいいから、理由つけてその場から離れたほうがいいと思う。なぜなら、パワハラ野郎は一度キレたらなかなか怒りが収まらず、『怒るために怒れるものを探す』って状態に陥りがちだから。二次被害を防ぐためにあえて仲間を見捨てることも自己防衛の手段かも」

火に油を注がぬよう、怒れる上司の目の届かない所へ避難するのが得策である、と。周囲に一日に何度もキレる人がいる場合は「休憩行きすぎ」とツッコまれそうだが、参考になる。一方、A君と同じように周囲に気づいてもらうことに重きを置く人も。

「僕はストレスが肌に出やすい体質で、そこから周りの人に気にかけてもらうことが多い。なので、ストレスを抱えているときは、逆に肌のケアを控えるようにしてます」(化粧品メーカー・27歳男)

女子にはなかなかマネしにくいテクニックかもしれないが、ニキビは無言のSOSになるようだ。

ただ、そうやって周囲にアピールしたところで、うまくいかない場合も当然ある。

「パワハラに対する取り組みは企業によって大きな違いがあります。大手が社内に相談窓口を設ける一方で、中小になると担当者がいないことも。また、時間や売り上げ、数字に追われる仕事だと、厳しい言葉が飛び交いやすくなり、そういう世界で生きてきた上司は部下にも厳しく接する傾向が強い。日大アメフト部はまさにそれでしょう」(稲尾氏)

SOSを出して察してくれる人がいる会社はある意味、まともな企業なのかも…。そんななか、「女上司の生理周期をアプリで管理している」と豪語する人もいた。

「クソみたいな発言ですけど、女性の生理日を把握しておけば、生理前のPMS(月経前症候群)の時期に逃げ回れます。女性社員同士が『生理でしんどい』って立ち話していたらメモるチャンス。アプリを使って管理すると便利ですよ。こんな話をするとキモいと思う女性もいるかもしれないけど、理不尽に叱られたりするのがいやで、仕方なくそうしてるだけなんです」(印刷会社・25歳男)

ハラスメントは、行なう側の気分や体調、家の事情など、プライベートな事象も大きく関わってくるもの。そのへんの事情がわかっていれば、うまく対応できるかもしれない。

◆この続き『週刊プレイボーイ』25号(6月4日発売)「クソ上司を地獄に落とす、パワハラ自衛テクニック」では、最近の若手社員たちが実践する有効な対策法を紹介! そちらもお読みください!

(取材・文/テクモトテク イラスト/渡辺貴博)