経済評論家の勝間和代氏が、自身のブログで女性と交際をしていることを報告した。
勝間氏は「同性を好きになることはずっと悩んでいた。同じような悩みの人のヒントになる可能性があると思った」と語っている。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。
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「人生で最大の勇気が必要でした」とツイッターにつづった経済評論家の勝間和代さん。LGBT活動家の増原裕子さんと恋愛関係にあり、同棲中であることを明かしました。
増原さんは以前、元宝塚俳優の東(ひがし)小雪さんと同性カップルとして東京ディズニーリゾートで結婚式を挙げ、渋谷区のパートナーシップ証明書を取得したことでも知られています。昨年、東さんとのパートナーシップを解消した後に勝間さんとの交際がスタートしたとのこと。
勝間さんの記事が出た直後に、ツイッターで「ついに日本にもパワーレズビアンが誕生した」という呟(つぶや)きを見たので調べてみたら、Power Lesbianとは俗にお金も権力もある女性同性愛者のことを指す言葉のようです。海外ではジョディ・フォスターや、アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル元首相など同性を好きになることを公言している著名人はたくさんいます。日本でも尾辻かな子衆議院議員が公言していますが、女性セレブではほとんど例がないですよね。
確かに、評論家としての実績があり、お金持ちで、知名度の高い勝間さんがカミングアウトしたことは、女性の同性カップルの認知度をぐっと高めたと同時に、すでによく知っている人の中にも性的少数者はいるのだということを印象づけました。
男性も女性も恋愛対象になる勝間さんはレズビアンというよりバイセクシュアルなのかもしれませんが、自分を定義づけることには関心はないそうです。「性的指向についてわざわざ人に言わなくてもいい世の中になってほしい」と言います。
確かに、異性だけを好きになる人は、「異性の恋人がいるんだ」なんて言わなくていいですよね。周囲に恋人を紹介するときも「恋人です」で済むし、異性を好きになることを隠す必要もありません。自分の性的指向について意識したことすらない人がほとんどでしょう。だからつい、「ええっ、同性愛?」と引いてしまったり、性的少数者はみんな性的に活発な人たちだと勘違いしたりするのかも。同性愛者は同性なら誰でも襲うに違いない、とかね。そんなはずないのに。
バラエティのトークではゲイやトランスジェンダー女性や女装男性はおなじみでも、レズビアンやトランスジェンダー男性はほとんど見かけません。電通ダイバーシティラボの2015年の調査では日本のLGBT層は7.6%ですから、およそ13人にひとり。左利きやAB型と同じくらいの割合です。
きっとあなたがこれまでに会った人の中にも同性を好きになる女性はいたはずです。今も、すぐそばにいるかも。
娘が同性の恋人を連れてくることだってありえるのですから。
●小島慶子(こじま・けいこ) タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『絶対☆女子』『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(共に講談社)など