新潟県知事選の勝利を追い風に、与党はカジノを含むIR=統合型リゾート施設の整備法案を今国会でなし崩し的に成立させる方針だ。
角界を揺るがせた野球賭博に関与するなどギャンブルにのめり込み、これまでに負けた額は総額で10億円ともいわれる元関脇・貴闘力(50歳)。ギャンブルの酸いも甘いも知り尽くしたこの男の目に、カジノ法案はどのように映っているのか?
* * *
―そもそも貴闘力さんは、今はもうギャンブルから足を洗っているという認識で......。
貴闘力 洗ってないよ。
―洗ってないんですか(笑)。
貴闘力 やるよ。
―パチンコとか?
貴闘力 パチンコは近所のおばちゃんに「でっかい体して、仕事もせんと」って言われるのがつらいからやらない(笑)。競馬のGⅠと、韓国のカジノに行ったりするくらい。今、深夜に韓国行きの便があるから、仕事が終わってから行っても朝の5時くらいには向こうに着く。で、3、4時間やって帰ってくれば仕事も休まないで済むからね。
―バリバリやってるじゃないですか! 主にカジノでは、何で勝負するんですか?
貴闘力 カジノのメインといえば、ブラックジャックとバカラ......って、今日はこんな話でいいの? 依存症の相談はできないよ。俺がまだ依存症なのに、相談受けてもしょうがないでしょ(笑)。
―カジノ法案が成立間近ですが、日本にカジノができたら、行かれますか?
貴闘力 視察に行くよ。
―あくまで視察ですよね。
貴闘力 毎日、視察に行っちゃったりして(笑)。でも、近くにできちゃうと困るなー、うずうずしちゃうから。でも東京にできたら儲かるだろうな。1万人くらい収容できる巨大なハコを造って、1日ひとりから5万円くらい抜いたら5億だろ。×365日でおよそ年2000億か。それぐらいのお金は計算できる。日本は治安もいいから、世界中から客が集まると思うよ。
―ギャンブルでいろいろあった貴闘力さんでもやめられない魅力って、ずばり、なんなんでしょう?
貴闘力 ギャンブル依存症の人って、勝っていい服を着ようとか、いい車を買おうとか、まるっきり興味がないの。ギャンブルができれば4畳半の部屋にテレビと冷蔵庫があるだけで十分なんだよね。じゃあギャンブルで50万円勝ったらどうするか? それを元手にまたギャンブルをやる。俺もそうだったけど、そこまでいったら人間のクズだな。
―貴闘力さんの中で「あれはアツかった!」という勝負を教えてください。
貴闘力 若い頃、地方競馬で10頭立てだったんだけど、ある情報屋が「出来レースだ」って言うんだ。配当は馬連で10倍くらいだったから「これはおいしい!」って、その1点に450万円突っ込んで。
―よ、450万円!! で、どうだったんですか?
貴闘力 買ったうちの1頭はビリ......。"情報"は大嘘だったよ(苦笑)。怒りに震える力もなく、ゴール板の前に呆然(ぼうぜん)と立ち尽くすだけ。高い授業料だったなぁ。そもそも俺らなんかに下りてくる情報なんてまともなもんじゃない。以来、そんなクソみたいな話は一切、聞かなくなったね。
★カジノ法案の依存症対策は意味がない? 記事の全文は『週刊プレイボーイ』27号(6月18日発売)にてお読みいただけます。 同時掲載の「カジノ法案のキナ臭すぎる話!」も要チェック!
●貴闘力(たかとうりき)
1967年生まれ、兵庫県神戸市出身。50歳。元大相撲力士。三男は大嶽部屋の納谷。現在、全国11店舗の飲食店を展開。講演会活動やグルメ研究家として活動中