結局、「絶対安全」は無理なのか?

今年6月、東海道新幹線車内で乗客3人が切りつけられ、死傷した事件。この事件が起きた根本にはどんな原因があったのか? 

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が前編に続き議論する。

前編では、先進国においては孤独化した「無敵の人」=失うものが何もない人間が増えていると指摘。フランスでは、移民第2世代以降の孤独化が顕著だという。

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ひろ フランスみたいな国は、そうやってやらかしてきた過去があって、それをちょっとずつ変えようとしていたりします。でも、日本はそれを周回遅れでやり始めて、同じトラブルに向けて突き進んでるように見えるんですよね。

ホリ 日本は、高齢者や中年の孤独問題を抱えているけど、外国人労働者の孤独問題も何か手を打たないと時限爆弾になる可能性があるね。

ひろ ちなみに、フランスだと移民向けに最長400時間の言語と文化の無料レッスンをやるなど、社会に同化するためのコストを払う方針でいたりします。カナダも銀行口座の開き方や、ハローワークの使い方の講習があるみたいですし。日本にも支援制度はあるんでしょうけど、いま一度見直したほうがいいかもです。

ホリ 事件を起こさせないためには、そういうのも必要になるのかもなぁ。あと、今回の件でマスコミが「新幹線のセキュリティ対策を強化しろ」論を煽(あお)っているのって本当にどうしようもねぇよな。

ひろ セキュリティチェック必要論がありますけど、あれって事前に見つけるためにやるんじゃなくて、「セキュリティチェックをやってます!」というアピールを心配性な人向けにやっているわけですからね。

ホリ そうそう。別に新幹線じゃなくても、テロをやろうと思えばいくらでもほかに方法はあるから。例えば、遠隔操作の大型ドローンに硫酸のタンクを積んで渋谷駅前で散布するとか。その場合、命に別条はないだろうけど、顔の皮膚が溶けて一生の傷になる。これはマジで恐怖だよ。

ひろ 結局、「絶対安全」って無理なんすよね。「人の多い所に行かない」って人生を選ぶか、「確信犯のテロリストをマークして犯行前に全員刑務所に入れる」とかしないと止められないですよね。

ホリ 結局、セキュリティを強化したところで、別の抜け道を考える不届きなヤツらは後を絶たない。だから、AIカメラで不審な行動を監視するとか、新しいテクノロジーを活用して対策すべきって話もあるよね。

ひろ でも、先月、パリのオペラ座近くで殺人事件があったんですけど、犯人はテロリストの監視リストに入っていた人でしたからね。犯人は指名手配の人物ではなく監視対象なので、仮にテクノロジーが発達してAIカメラで見つけてもちゃんと機能するのかは微妙な部分があります。

普通に暮らしてるだけって人がほとんどで、いちいち止めて調べても成果は上がらないですし、いざ実行するってときは、監視カメラやドローンがあっても、犯行までは止められないので......。

ホリ だね。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)