"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。

公立の金足農業高校の快進撃に沸いた今夏の甲子園。前編では、決勝の途中までひとりで投げ抜いた吉田輝星投手の姿に「高校生に連日投げさせるとか正気の沙汰じゃない」と批判しつつも、「そうしたストーリーがあるところが甲子園の醍醐味でもあるから難しいところ」だと語った。

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ひろ 厄介なのが、「そういうのが高校生らしい」っていう人がいることなんですよね。僕的には、いまだに根性論とか叫んでいる人は、その生徒の選手生命や人生のこととかどうでもよくて、今が良ければいいと思っているんじゃないかなと考えてしまいます。

ホリ 大会審判委員長は「秋田大会からひとりでマウンドを守る吉田投手を、ほかの選手がもり立てる姿は、目標に向かって全員が一丸となる、高校野球のお手本のようなチームでした」なんて言って批判されていたよね。

ひろ ってことは、審判委員長もさっき言ったタイプの人間なんでしょうね。古代ローマの剣闘士がコロシアムで殺し合いしているのを楽しんでいる民衆も、剣闘士の命とか健康とか気にしてなかったわけですし。

でも、エンタメとして甲子園を楽しんでいる人って、そういう層なんじゃないすかね。ちなみに、生徒をこんなふうに酷使していたら、フランスとかアメリカだったら訴訟を起こされて学校が潰れちゃいますよ。

ホリ 日本は訴訟どころか、最近になってやっと「選手のことを考えろ派」の意見がじわじわ出てきた感があるくらいだよ。

ひろ 日本人は、現状が普通だと思っている人が多いですよね。

ホリ 今回の件を受けて投球制限を設けようって話も出ているけど、それをやってしまうと弱いチームが勝てなくなるから難しいところだよね。だって、普通の公立高校に2人も3人もエース級の投手は集まらんでしょ。

ひろ 僕は主催者側が甲子園に出場できたチームにたくさんお金を出すべきだと思いますけどね。これだけ日本中が注目するコンテンツなので、スポンサーを募集したら財源はそれなりに集まると思うんですよ。

ホリ 確かに。入場料が格安だったりするように、今って主催者側にちゃんとマネタイズする気がない。でも、これだけのコンテンツだから、きちんとやれば収益はとんでもないことになる。

ひろ むしろ、きちんとマネタイズできていれば、本来ならもっと球児たちが野球しやすい環境整備なんかもできるわけじゃないですか。それができていなくて、回り回ってしわ寄せが高校生に行っているのってヘンだと思うんですよ。

夏の甲子園って朝日新聞社が広告費を出していますけど、スポンサーを続けたいなら、もっとお金を出せばいいし、そうじゃないなら、ほかのスポンサーを見つけるべきかなと。

ホリ 金足農業は遠征費が足りなくて困ってたくらいだから、今は十分な額が出ていないんだろうね。 

ひろ でしょうね。でも主催者側からもっとお金が出るようになれば、「甲子園の出場金」で強くなることもできる。お金があれば設備などにコストをかけられますから。現状ではベストな選択肢じゃないですかね?

ホリ だね。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。『これからを稼ごう 仮装通貨と未来のお金の話』(徳間書店)が発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)