iPhoneの端末自体はパスコードにせよ、指紋認証や顔認証にせよ、ガードは堅い。問題は同期されたクラウドデータだ iPhoneの端末自体はパスコードにせよ、指紋認証や顔認証にせよ、ガードは堅い。問題は同期されたクラウドデータだ

もし明日、自分が突然死したら......誰にも知られたくない秘密はどうなる?

デジタル機器に残された写真や、メール、SNS、コミュニケーションアプリなどに残っていたデータなどの「デジタル遺品」が、思わぬトラブルを巻き起こすケースが後を絶たない。

つい先日も、あるフリーアナウンサーが体調不良を理由に全番組を降板したが、その裏にはダブル不倫があったという。亡くなった元不倫相手のデジタル遺品から、遺族がその証拠を発見し、騒動に発展したというのだ。

デジタル遺品研究会ルクシーの古田雄介代表理事はこう語る。

「LINEでの『おはよう』といった細かな会話から、SNSにログインした場所や端末、時間などまで、デジタル遺品には膨大な情報が無意識的に、かつ明確に残されてしまいます。しかも、バックアップ機能が設定されていることが多く、完璧に削除するのが難しいのです」

特に危険なのがクラウド上のデータだ。スマホなどの端末上のローカルフォルダからデータを削除しても、同期された別のパソコンなどから後になって簡単に閲覧できてしまうケースもあるからだ。

身近なもので注意したいのは、GoogleフォトやiCloudといった自動同期アプリ。マニアックなエロ動画くらいなら遺族もスルーしてくれるかもしれないが、浮気や悪事の証拠でも出てきたら死後にまで禍根を残す。

遺品整理ドットコム代表取締役の齊藤祐輔氏はこう言う。

「例えば、iPhoneの端末は、FBI(米連邦捜査局)が捜査の際にアップル社にロック解除を求めるほどガードが堅い。しかしパソコンになると、メーカーにもよりますが、パスワードの解除ができなくても、ハードディスクを取り出せば"思い出"を他人がのぞき見ることができます」

また、Apple IDやMicrosoftアカウント、GoogleアカウントのIDをメールアドレスにしている場合は特に危険だ。

「これらのIDがわかれば、登録している電話番号などからパスワードをたどることができるケースもある。いわばあらゆるデータへアクセスする"マスターキー"です。そこが突破されれば、iCloudやiTunes、アンドロイド系のクラウドサービスのデータも復元可能になってしまいます」(齊藤氏)

近年は高齢者の「終活」が話題だが、どの世代でもこの問題は人ごとではないのだ。

「万が一のときのために、亡くなったことを知らせる連絡先や、お金に関する情報など、遺族などに知らせるべき情報はエンディングノートなどでまとめておいたほうがいい。その上で、知られたくないものはこまめに削除しておくか、クラウドを使わずスマホ内にとどめておくべきでしょう」(齊藤氏)

想定外のトラブルになる前に、デジタルデータを"大掃除"したほうがいいかも?