元卓球日本代表、福原 愛さんが引退を発表。そのニュースを受けて元TBSアナウンサーの安東弘樹氏が「7歳の愛ちゃんと一緒に入浴した」と発言。冗談のつもりだったのだろうがこのご時世、その手の発言は......。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。
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卓球の福原愛さんが引退、と書こうとしていたら、安東弘樹さんの入浴発言のニュースが飛び込んできました。
わああアンディ、いったいどうしたの!?
番組内で「昔、愛ちゃんのご自宅に取材に行ったら、お父さまにお風呂に入るよう勧められたので、7歳の愛ちゃんと一緒に入浴した。だから旦那さんより先に(裸を)拝見しています」と発言して、周囲をざわつかせたというアンディ。うわー、今どきそれはないわー。
もともと同じ会社に勤めていた先輩だし、アンディがとてもまじめで情熱家なのも、ラジオでは羽目を外したいい意味での狂気を見せる人であることも知ってるけど、そしてきっと子供をお風呂に入れるパパ的なマインドで発言したのだと思うけど、これはもういろんな意味でアウトですよ、先輩。
というか、まず、取材に訪れた男性に娘との入浴を勧めるって、愛さんのお父さん、どういうことでしょう!? 動機がまるっきり理解できません。より娘と親しくなってもらおうということなんでしょうか。でも入浴って、ありえなくないですか。
それをわざわざテレビで言って「自分は旦那よりも先に彼女の裸を見ている」って冗談にするのもありえない......。テレビを見ている人に愛さんの全裸を想像させるような話をするのは無神経すぎるし、まして自分は旦那より先に彼女の裸を見ていると自慢するなんて、女性を男性の所有物みたいに扱っている感じがしてすごくいやだ。
ああー、とても信用できる大好きな先輩なのに、ショックだよう。
でもね、きっと本当に悪気はないんだと思うんです。ちょっとした冗談のつもりで、みんなも真意をわかってくれるだろうと思ったのだと思います。5年前なら今ほどの騒ぎにはならなかったかもしれない。でも去年からの#MeTooなどの流れで、今はこれまでの「アリでしょ」が「ありえない」に変わりつつあります。
仕事は根性、と言われていたものがパワハラと認識され、職場のコミュニケーションとされていたものがセクハラ認定される時代。それまで誰かがいやな思いをして我慢していたのをなかったことにしてきたのが、いややっぱりこれおかしいよね、もうやめようねという時代になったのです。
あまりにもツッコミどころが多い今回の発言ですが、今は過渡期なので、失敗して指摘されて学習して変化するための時間も必要。アンディだけじゃない、誰だってついうっかりドン引きものの発言をする可能性はあります。
今回のことはただの失言ニュースで終わらせず、他山の石として生かしつつ、一緒に変化することが大事なんじゃないかな。
●小島慶子(こじま・けいこ)
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『幸せな結婚』(新潮社)、『絶対☆女子』(講談社)など