皇嗣というお立場になる秋篠宮さまは、皇族のスポークスマン的な役割になるのかもしれません

秋篠宮さまが皇位継承に伴う「大嘗祭」に宮廷費(公費)を充てる政府決定を記者会見で疑問視。宮内庁に苦言を呈する場面も。一部では「政治的発言ではないか」と問題視する声もある。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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これからは「発信する皇室」になるのかもしれません。秋篠宮さまは、53歳のお誕生日前の会見で大嘗祭(だいじょうさい)への公費支出について苦言を呈し「(宮内庁長官らが)聞く耳を持たなかった」と発言。専門家の間では賛否が分かれました。

来年5月の代替わりに伴い、皇位継承順位第1位の皇嗣(こうし)となる秋篠宮さま。政治的な発言はともかく、ご自身のお考えを直接国民に届く形で述べたいというお気持ちは、一昨年の天皇陛下のお言葉からも強くうかがえました。"菊のカーテン"で、国民と皇室が隔てられているとお感じになることもあるのかもしれません。

以前は公人の言葉はメディアを経由してしか一般の人の耳目に触れることはなかったのに、今や大統領のツイートが直接個人の端末に表示される時代。入念にセッティングされた会見で予定調和的にやりとりされる言葉ではなく、じかに届く一人称の言葉にこそ真実味があると評価されます。それが必ずしも本音や正確な情報を語っていなくても、本人が直接自分に語りかけていると思うと真実味を感じてしまうもの。

あるいは皇室の方々も、そうした時代の変化に合わせて、国民との間に信頼関係を築くには発信の仕方を変える必要があると感じているのかもしれません。さすがにツイッターでつぶやくのは無理だとしても、会見で個人的な見解を述べることは増えていくのでは。皇嗣というお立場になる秋篠宮さまは、皇族のスポークスマン的な役割になるのかもしれません。

そもそも秋篠宮家にはワイドショー的な関心を引く要素が盛りだくさん。長女の眞子さまと小室圭さんとの恋の行方はどうなるのか、アイドルのような人気がある佳子さまの交際相手は? 未来の天皇・悠仁(ひさひと)さまの進学先は?と話題は尽きません。

皇族としての発信だけでなく、ご自分の家族に関しても国民に直接伝えたいことはあるはずです。メディアに勝手なことを書かれるくらいなら、自ら説明したいと思うでしょう。

一昨年の天皇陛下のお言葉にあった「個人として、これまで考えてきたこと」というお言葉は印象的でした。天皇もひとりの人間であり、公的な立場と一個人の人生があるのだということを自ら言葉にされ、退位に関するお話では、殯(もがり)の行事や喪儀に関連する行事でご家族に多大な負担がかかることへのご心配を述べられました。

天皇陛下にも私生活があり、ひとりの父親としての家族への思いや個人的な信条があるということをご自身で国民に語りかけたという点で、あのお言葉は第二の人間宣言と呼ぶべきものだったと思います。そのスピリットはふたりのご子息にも受け継がれているはず。

新時代のロイヤルファミリーは、宮内庁やマスコミのなすがままではなく主体的に国民に語りかけるようになるでしょう。いっそ「ロイヤルYouTube」なんていいかもしれません。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『幸せな結婚』(新潮社)、『絶対☆女子』(講談社)など

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