人を侮辱して笑いが取れる時代は終わったんです 人を侮辱して笑いが取れる時代は終わったんです

『M-1』終了後に、「スーパーマラドーナ」の武智正剛と「とろサーモン」の久保田かずのぶが審査員である上沼恵美子に対し「クソが!」「更年期障害」など暴言を吐き大炎上。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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『M-1グランプリ』(テレビ朝日)の打ち上げで審査員の上沼恵美子さんへの暴言をインスタライブで動画配信して大炎上したとろサーモンの久保田かずのぶさんとスーパーマラドーナの武智正剛さん。謝罪コメントを出したものの「目上の人に失礼すぎる」「M-1に傷をつけた」「更年期障害を女性に対する侮辱の言葉として使うのは許せない」と批判は収まらないようです。

武智さんは「(審査で)嫌いだと言われたら、更年期障害か?って思う」と上沼さんへの不満を表明。40代半ばから50代半ばの女性が経験する更年期症状は、閉経に伴うさまざまな不調。60代の上沼さんには当てはまりません。

更年期障害は、更年期症状が深刻で生活に支障を来し、治療が必要な状態。武智さんは、更年期障害という言葉に「感情的でまともな判断ができない、盛りを過ぎた女性」という意味を込めているようだけど、本当にひどい。 

こういう人は、以前からいました。私も30代半ば以降、収録中に何度か男性出演者から「更年期!」とからかわれたことがあります。そのたびに「30代半ばはまだ更年期じゃないですよ」とクソまじめに反論してきました。おばさんとか更年期とかいう言葉で女性をからかう人は「若くない女は価値がない」と思っているか、そう世間が思っていることを前提にウケを狙っているのだろうけど、本当に失礼だし、面白くないし、もの知らずだと思う。

それにしても、今までは「更年期!」ってテレビで女性がからかわれていてもスルーされていたのに、こうして批判されるようになったのは世の中が変わったのだなあ、と実に感慨深いです。

そもそも閉経した女性を、なんでぶざまな存在だと思うのかな。子供を産むことができる年齢の女性にだけ性的な価値があると考えているから? 生理の仕組みもよく知らないだろうに、ただなんとなく「生理がある女は性的に現役だから価値あり、閉経した女は性的存在じゃないから価値なし」と決めつけてるみたいだけど、閉経後も豊かなセックスライフを送っている人はたくさんいますよ。「ババアがセックスなんてキモー」とか言ってるおまえの幼稚さのほうがよっぽどキモイわ。

おっと、語気が荒いですね。しつこいけど女性の価値は生理の有無じゃないから。あと人の体の不調を笑いのネタにするな。聞きかじった言葉を安易に使うな。私は笑いの道は知らないけれど、笑いって力のある者への怒りや不満を表現するためのものでもあるんじゃないの? ならインスタ動画で、審査員への不満を気の利いた風刺で訴えることもできたと思うのだけど。

才能があるって、そういうことかと思ってた。だって怒りを笑いに転化するって、とても頭を使うものね。人を侮辱して笑いが取れる時代は終わったんです。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『幸せな結婚』(新潮社)、『絶対☆女子』(講談社)など

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