これからはパートナーや親子の形もさまざまになっていくでしょう

LGBT社会運動家の松中権氏が精子提供した赤ちゃんが、昨年無事誕生。「ゲイとトランスジェンダーと母と子」と題された記事が1月25日付の『BuzzFeed NEWS』でも配信された。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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このほど、私の友人ふたり が、同じ赤ちゃんの父親になりました。ん? どういうこと?と思ったでしょう。

ふたりのうちひとりは、赤ちゃんの遺伝上の父親、松中 権(ごん)さん。もうひとりは、ファミリーとして妻A子さん(仮名)と一緒に赤ちゃんを育てる父親・杉山文野(ふみの)さんです。杉山さんとA子さんは8年来のパートナー。法律婚はしていません。

どうしても子供が欲しいと考えたふたりですが、杉山さんはトランスジェンダー男性であるため、精子をつくれません。そこで、親友である松中さんの精子と、A子さんの卵子で赤ちゃんをつくることにしたのです。松中さんはゲイであることを公表し、LGBTの権利向上のための活動などをしています。

異性愛の男性の精子だと嫉妬してしまうと悩んだ杉山さんは、親友である松中さんに精子提供を依頼。松中さんは、親友のために提供を承諾しました。

1年半の挑戦の末に人工授精で授かった赤ちゃんは、昨秋に無事誕生。赤ちゃんを産んだA子さんとパートナーである杉山さん、精子を提供した松中さんの3人が親として赤ちゃんを迎えました。

今はいろいろな家族がいます。ほかにもゲイの男性と結婚し、健康上の都合で身内の女性から卵子を提供してもらい、代理母出産で赤ちゃんを授かった知人もいます。

杉山さんと松中さんのケースも、代理出産で母親になった知人も、周囲から温かく祝福されて、悩んだ末の決断を多くの友人たちが応援しています。

たまたま私の周りにはそういう「珍しい」家族がいるのかもしれませんが、これからはパートナーや親子の形もさまざまになっていくでしょう。

こういう話を聞くと「普通」じゃないから子供がかわいそうだと批判する人もいるけど、本当に子供を心配するなら「ようこそ、安心してね」と歓迎してあげてほしいです。愛し合う親と彼らを心から支える人々の元に生まれた子供に必要なのは、周囲に受け入れられること。

松中さんは性的少数者についての知識を広めたり、権利向上のためのさまざまな活動をしたりしていますが、東京オリンピック・パラリンピックに向けても「プライドハウス」の立ち上げを担っています。

平昌オリンピックでは、フリースタイルスキー男子の選手が同性の恋人とキスする様子が中継され、スピードスケート1500mの金メダリストのオランダ人選手はレズビアンであることを公表していました。「プライドハウス」はオリンピックに参加しているLGBTとその家族が安心して集える場所であるとともに、世界に向けた情報発信をする施設です。

2020年のオリンピック・パラリンピックは多様性に寛容な社会を実現するための大きなイベント。いろんな生き方や家族の形がもっと身近になる機会でもあるのです。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『幸せな結婚』(新潮社)、『絶対☆女子』(講談社)など

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