男性がやってもおかしくないし、接客が好きならホテルマンと同じこと 男性がやってもおかしくないし、接客が好きならホテルマンと同じこと

国内最大手の航空会社全日空に、客室乗務員(CA)職として初めて日本人男性が4人入社。海外のエアラインでは当たり前の男性CAが日本でもなじみのあるものになる日も近い?

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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以前から、なぜCA(客室乗務員)と保育士さんは女性ばかりなのか疑問でした。機内で暴れる人がいるかもしれないし、子供たちのお散歩中に不審者に出くわすこともありえます。男女両方いたほうが心強いですよね。

今この原稿を書いているのはオーストラリアに向かう飛行機の中なんですが、男性のCAが何人もいます。いつも外国の航空会社を使っているので、たまに日本の飛行機に乗ると若い女性CAばかりで不思議な感じがします。

そんな日本でもようやく、男性CAがじわじわ増えているのだとか。「えっ、男がCA?」と驚くかもしれないけど、そもそもCAは保安要員。男性がやってもおかしくないし、接客が好きならホテルマンと同じこと。

なぜ女性ばかりなのかというと、かつて飛行機に乗るのがとてつもない贅沢(ぜいたく)だった時代には、利用するのはエグゼクティブやビジネスマンなど男性ばかりだったため、機内でお世話をするのは若い美人がいいだろうということで、そのまま現在に至るのだとか。

保育士同様「女性の仕事」とされているせいか、日本のCAは他国よりも給与水準が低いというデータも。企業側が男性を採用する前提ではないため、CAを目指す男性は非常に不利となり、就職は超難関なのだとか。

エリート男性にお仕えする女性という原形が残っているのか、日本のCAさんのサービスはやたらと低姿勢で、お客さんと乗務員が主従関係みたいなのも気になります。それに乗じて顎(あご)で使うような乗客もいて、見ていて不快なことも。

私がよく使うエアラインでは割とドライなサービスだし、そもそも保安要員だという原点に立ち返れば、気さくで親切でさえあれば、あんなにご奉仕マインドでなくてもいいのでは。

以前カンタス航空の飛行機に乗っていたらベテランの男女のCAがおしゃべりしながらコーヒーと紅茶を配っており、男性がうっかりコーヒーをワゴンにぶちまけてしまいました。

ふたりは笑ってそのまま「はーい、コーヒー以外のお飲み物をいかがですか」と続け、お客もみんな笑ってしまい、しょうがないなと紅茶を頼むという一幕が。「コーヒーをこぼしたなら謝れ! すぐに持ってこい!」とか言う人は当然いないし、当人もさして悪びれる様子もなく、サービスとしてはゆるいけどその場の空気はすごく和んだのでした。

CAが男女混成部隊になってもサービスの質を維持することは可能だし、安全上も心強いです。キレイなお姉さんが優しくお世話してくれるのが好きな人もいるだろうけど、そういう人ばかりじゃありません。日本でも男性CAが当たり前になるといいな。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が好評発売中

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