制約はあっても最大限おのおのの人生を大切になさってほしいです 制約はあっても最大限おのおのの人生を大切になさってほしいです

天皇陛下の即位を祝う一般参賀が、5月4日に皇居で開催された。朝から並ぶ参賀者の列は東京駅まで延び、計14万1130人に達した。体調が懸念されていた新皇后もすべての回に出席された。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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連休も終わり、ようやく令和も通常運転に。即位を祝う一般参賀では、詰めかけた群衆に対して暑さを気遣う天皇陛下のアドリブも出たりして、新天皇皇后両陛下も日に日に人々に親しまれているようです。

皇后陛下の晴れやかな笑顔も印象的でした。皇太子妃の頃よりも格段に生き生きとした表情で、立ち居振る舞いにも風格と自信が表れているように見えます。今後はご公務に本格復帰かなど早くも盛り上がっているようですが、ご体調のことはそっとしておいて差し上げるのが一番でしょう。

メンタルの病気に「はい、これで完治」という節目はありません。私は不安障害という病気と10年以上の付き合いなのですが、寛解といってほとんど症状がなくなる状態と、また何かのきっかけで不調になることを繰り返しながら、どちらかといえば病との二人三脚のような心持ちで少しずつ回復していくものだと実感しています。

皇后陛下は適応障害と診断されているのでまた違うご苦労があるかと思いますが、ただでさえ大きな節目で大変なのに、ここでまたご病気に注目が集まるのはプレッシャーでしょう。

一般の人からは日常のご様子がわからない皇室の方々は、たまに人前に現れたときの姿や断片的な情報であれこれ詮索されます。今は国民の敬愛を集める上皇后美智子さまも、かつて皇室バッシングに悩み、失声症になられたのは周知のこと。

日本以上にロイヤルファミリーのゴシップが好きなイギリスでは、今キャサリン妃とメーガン妃のファンが対立しています。ツイッターなどでメーガン妃に対する悪意ある書き込みが絶えず、ついに王室が怒りを表明したところ「対応が遅すぎる」「キャサリン妃のことは大事にするのに、王室はメーガン妃を守ろうとしていない」など、メーガン妃派がブーイング。両妃の不仲説が流れたり服装を比べたり、当人同士をよそに大騒ぎ。私もつい見てしまうのだけど。

即位の直後は祝賀ムードでも、今後天皇ご一家と皇嗣である秋篠宮さまご一家とのご関係への関心は高まるばかりでしょう。秋篠宮家には眞子さまのご結婚の問題があり、一方で両陛下のお子さま、愛子さまの進学先も注目されています。どこの親戚にもある揉め事や悩み事が、皇室という「間違いがあってはならないご一族」にも起きているから耳目を集めるのです。

でも、人は病気になることもあるし、恋をすることもあるし、やりたいことが見つかるかもしれない。制約はあっても最大限おのおのの人生を大切になさってほしいです。清く正しい家族であれと求めるのは無理があります。制度の下で苦しむ人を見るのはつらいし、そんな生き方がお手本とされる国の人々は、果たして幸せなのだろうかと思います。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が好評発売中

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