自宅で倒れていたハラさんを発見したのはマネジャー。室内で煙を吸った形跡があったという(写真は昨年4月のもの) 自宅で倒れていたハラさんを発見したのはマネジャー。室内で煙を吸った形跡があったという(写真は昨年4月のもの)

「いろいろなことが重なり、心がつらくなってしまいました。本当にごめんなさい」

韓国・ソウル市内の自宅で、意識不明の状態で発見されたタレントで元KARAのク・ハラさん(28歳)が、一夜明けた5月27日に発表した"謝罪コメント"だ。

自殺未遂報道を否定しなかったところを見ると、本当に自ら命を絶つつもりだったようだが、いったい何があったのだろうか。

KARAの元所属事務所のスタッフから聞いた話として、韓国総合情報サイト『K-report』の成川 彩(なりかわ・あや)編集長がこう話す。

「ハラさんは昨年9月に元恋人への暴行容疑で取り調べを受けており、今月末に公判を控えていたんです。元所属事務所のスタッフによれば、ハラさんはその裁判に出廷することをとても気に病んでいたそうです」

日韓にいまだに根強いファンを持つハラさんだが、KARA解散後は時折、韓国のバラエティ番組に顔を見せていた程度。とりわけ昨年10月、暴行疑惑に反論するため「元恋人からリベンジポルノの脅迫を受けている」と告白してからはメディア露出もほとんどなく、事実上の活動自粛状態が続いていた。

「しかも、ハラさんは今年1月に所属事務所『コンテンツワイ』との契約が切れ、次の移籍先も決まっていませんでした。もし出廷すれば、そんな惨めな自分の姿がニュースになって世間にさらされてしまう。全盛期の華やかな自分と今の自分とのギャップの大きさに耐えきれず、自殺を考えてしまったのかなと、そのスタッフは心配していました」(成川氏)

幸いハラさんの体調は回復に向かいつつあるという。

ところで、韓国の芸能界は自殺が多発するブラックな業界という評価が定着している。今回の自殺未遂騒動にしても、ネット上などではその文脈で語られることが多い。

しかし、そんなイメージとは裏腹に実はここ数年、韓国芸能界では急速に"脱ブラック化"が進んでいるという。韓流ウオッチャーで韓国大手芸能プロ役員を務めたこともある文恵子氏が言う。

「#MeToo運動が盛り上がり、芸能界にはびこっていたセクハラ行為が続々と告発されたことで、業界内ではタレントの労働環境を見直すなどの自浄作用が起きているんです。

韓流ブームが海外に飛び火し、タレントが外国のエージェンシーと条件のよい契約を結ぶようになったことも大きい。劣悪だった韓国内での契約も、それに準じて改善されつつあります。かつてよく耳にした『奴隷契約』という言葉も、最近はあまり聞かなくなりました」

実際、福利厚生の一環として社員食堂をつくった芸能プロもあるという。

「こまごまと労働条件を書き入れるため、タレントとの契約書は以前に比べて格段に厚くなりました。過酷な労働条件で有名だったドラマ制作の現場でも、徹夜の撮影はめっきり減っています」(文氏)

自殺、うつ、対人恐怖症、セクハラなどが多発するブラックさから"鉄格子のない監獄"といわれてきた韓国芸能界。ク・ハラ自殺未遂騒動を乗り越え、このまま脱ブラック化を進めることができるのだろうか?